地域に開く経済合理性を追求した事業に最適なテナント商業ビル

計画地と周辺エリアの特性を調査・分析し、事業の適性を確認

計画地と周辺環境の持つ強みと弱みを分析

新規事業として商業テナントビルの新築を検討していた企業。敷地が属する用途地域は第2種住居地域でした。
主として住居の環境を保護するために定められた地域ですが、事務所や店舗、遊戯施設の建築も認められている地域で
特に計画敷地は駅徒歩3分、10m以上の幅員を持つ幹線道路沿いであり、別所沼公園の近くという好立地だったこともあり、周辺には様々な用途の建物が建っていました。

敷地とエリアの特性を最大限活用しながら、地元にも貢献したいという企業の思いを形にするため、私たちは計画敷地と周辺エリアに対して分析を行い、事業への適性を探っていきました。

一般的な商業ビルが抱える課題の把握

一般的な商業ビルは2階以上の店舗は視認性、アクセスの問題からテナント価値が低くなり、賃料が安くなるという課題を抱えることが少なくありません。

また、商業テナントビルは床面積を最大限広く取る傾向にありますが、各テナントの床面積が100㎡以上になるとテナントが変わるごとに用途変更の確認申請を行う必要が出てくるという運営面での課題があります。

私たちはこのように建築と経済に対する一般的な課題を整理していく一方で、経済効率性が重要視される商業テナントビルでは地域に開くという前提でデザインされるテナントビルが少ないという点に着目しました。

これらの調査結果と計画地やエリアが持つ特性を踏まえながら、新しく建てる商業テナントビルのポジションを計画していきました。

【SWOT分析】
<強み>
▽内的要因
・車通りが多く人目につきやすい県道沿いの角地という立地である。
・別所沼公園が近く、公園からの人の流れがある。
・最寄り駅から徒歩3分の好立地てある。 ・エリアが新規に開発されていく可能性がある。

▽外的要因
・別所沼公園が近く、公園からの人の流れがある。
・地域の人口が増えている。
・競合がいない。

<弱み>
▽内的要因
・計画地の形状が変形地である。
・地盤が悪い。
・用途地域が商業地域ではない。

▽外的要因
・隣接駅に比べ、最寄り駅の利用者数が少ない
・最寄り駅に急行が止まらない。

 

適切な構造の選択と経済合理性。商業テナントビルの目指したポジション。

計画敷地の特徴をポジティブに利用し、競合他社とは異なったポジションへ。

このプロジェクトの計画地は県道沿いに位置し、近くには公園があります。そのため車通りや人通りの多い場所となっていました。周辺には様々な用途の建物が建っており、計画地を囲むように賑わいがある雰囲気を持っていました。

しかし、人々の活動が外に見えづらいデザインの建物が多く、なかなか賑わいが目に触れる機会がありませんでした。
私たちはこれらの特徴を踏まえながら、地域との信頼関係を構築できるような地域に開かれたテナントビルという
ポジションを目指し、商業テナントビルの建築設計やロゴデザインなどを企画していきました。

経済合理性を考慮しながら、適切な規模と構造を計画。

必ずしも高層階の建築が経済合理性があるわけではありません。
一見すると、高層階の建築はより多くのテナントスペースを設けることができるため
利益率がよくなると考えられますが、コストの高いエレベーターやキュービクルの設置が必要になります。
特に、今回の敷地は地盤が非常に悪いということが周囲の地盤データからわかっていました。
高層化した場合、杭の深さは20mを超えなければ支持地盤が出てこない事が想定されていました。

結果的に事業収支が合わなくなるシナリオが予想されたので、杭を打たないで地盤改良で対応できる重量を設定し
オーナーの事業に最適な建築解を計画していきました。

このように、建物を建てる場所やオーナーの考え方によって最適な建築のカタチは変わってきますので
本来ならば様々な可能性を吟味して選択をすることが重要になってきます。

ビジネスと地域の特徴に最適な建築解、「地域に開く」商業テナントビルを提案

「ビジネスでの成功と同時に地元への貢献もしたい。」というオーナーの思いに応えるため
「地域に開く商業テナントビル」というコンセプトを提案。
そして、そのコンセプトのもとにデザインされた、建築やロゴを提案しました。

敷地内に信号機と電柱があり電線が横断しているため移設を提案

視認性をよくするため商業ビルの基本である、前面の道路境界線に可能な限り近づけることを第一に考えました。
しかし当初は敷地内に信号機柱、電柱の電線があり、前面道路に近づけるには信号機と電線が邪魔であったため
それらの移設の提案からプロジェクトが始まりました。

電柱や電線、信号機の移設は警察、電力会社、NTTなど関係機関との協議が必要なため、時間と手間が非常にかかりますが、建物がこの先もずっと建ち続くことと、建物のこれからの価値を考えると避けては通れないことだと考えクライアントには理解していただきました。

変形地の敷地特性を活用。地域に新たな賑わいを創出する商業テナントビル

計画敷地は変形敷地なため、三角形に近い形で建物を計画しました。
1階の計画は前面道路に限りなく近づけるように計画しました。
また2階は一部をセットバックとすることで、セットバック部分に夜は光がたまりやすいように計画しました。
2階への動線部分はアイキャッチとしてシンボルツリーを設け、その視線の先には2Fへの誘導を促す為の屋外階段とデッキスペースを設けました。

プランニングでは各階の床面積を100㎡以下に調整することによって、テナントが変わる度に用途変更の確認申請を行う必要がなくなり、スムーズな賃借の実現が可能になります。 

視認性とアクセシビリティの二つの課題を解決したことで、2Fのテナント価値の向上が期待できます。
地上から屋上まで繋がった屋外階段は、人が利用することで、街に立体的な賑わい作り出し地域に新しいシーンをもたらします。

地域に開くビル。

地域に開くということは、ただオープンにするという意味だけではありません。
私たちは地盤が悪い敷地でも、崩壊しにくい建物を建て、災害時に人々が安心して避難できることや
住民がオープンエアーのイベントやアクティビティを開催できるような屋上の貸し出しなど
地域との信頼関係の構築を目指し、地域に開くということを体現するデザインを提案しました。

経済効率はもちろん地域にも貢献したいという、地元企業の思いが形になった商業ビル

このプロジェクトでは地域や敷地の強みを最大限活かし、オーナーの「地元に貢献したい」という思いに応えながら
ビジネスに最適な建築を提案することができました。
視認性とアクセシビリティの課題に対して配慮されたこのビルでは、2階テナントにはオーナーの関係先企業である飲食店が入ることになりました。
また、1階には保育施設が入り、子どもや家族の交流が行われる「開かれたビル」への兆しがあり
子供たちが屋上を利用したイベントの企画など、新しい展開も期待されています。

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