遊休不動産(空き家)を一棟貸しゲストハウス( ホテル)に用途変更

建築物、都市、競合他社の動向を分析しゲストハウスビジネスへの適性を確認

物件とエリアの強みを把握

遊休不動産となっていた旧支店の使い道に悩んでいた京都の企業。最初の要望は事務所をリノベーションして賃貸にしたいという要望でした。

しかし、京都は年間で1,830,000 人(総務省統計局国税調査 2010のデータ)の外国人宿泊客が訪れる観光都市であり、ゲストハウスの需要が十分に見込めます。

一方、既存ストックの有効活用が社会的なテーマとなってきている昨今の状況を考えると、空き家活用事業の推進は企業のイメージアップや社会貢献として大きな意味を持ちます。

そんな企業が新規参入を図るゲストハウス事業で成功を納めるため、私たちは物件とエリアの事業に対する適性をSWOT分析で探っていきました。

 

【SWOT分析】
<強み>
▽内的要因
・建物や周辺環境に伝統的な町並みの文脈がある
・一軒家である
・場所が優れている

▽外的要因
・観光地の宿泊施設としての需要がある。
・顧客の古く趣のある建物への宿泊に対する需要がある。
・古き時代の建物を残す事で、地域や町並みに貢献できる。
・企業が建物を再生させるノウハウを得られる。

<弱み>
▽内的要因
・築年数が古く、設備の劣化、老朽化、耐震不足、断熱不足がある。
・クライアントの営業エリアから場所が少し遠い。
▽外的要因
・同業他社の数がまだ少なく、ストックが限られている。

 

消費者ニーズの変化と競合他社が抱える課題

調査を進めていくなかで、宿泊ニーズの多い京都では旅館業の許可を取得した合法的な改修・運営を行っている事業所が少ないということでした。そのようなゲストハウスは、常に営業停止のリスクと隣り合わせの状態で運営をしています。

またほとんどの方が、旅館業の許可を取得することに及び腰になってしまったり、とても難しい要件やコストが大幅に上がってしまうという考えの方が大半ですが、しっかりとした手続きを行えばリノベーションでも十分に対応することができ旅館業の許可を取得できます。

また、先のSWOT分析の結果から、近年のリノベーションブームの影響で消費者のニーズが高級ホテルとは異なった、趣のある建物への宿泊を享受する価値観へと変化してきていることも踏まえ、物件の持つ価値を再度確認していきました。

このゲストハウスが目指すべきポジションはどこなのか。競争の激しい京都という場所で競合他社との差別化を図りながら、事業に対する最適なデザインを追求していきました。

空き家をコンバージョン(用途変更)するゲストハウスが目指すポジションを策定

地域の特性と物件の強みに最適なポジショニング

このプロジェクトで扱われた物件は昭和35年頃に建てられた補強コンクリートブロック造で、当時の社会背景が反映された建物です。
また、京都の町家形式を踏襲した伝統的な間取りで構成され、モダンさと和の要素を兼ね備えていました。

さらに、この物件は一軒家ということもあり、供給が不足しているファミリー層や若いグループをターゲットとした「一棟貸し」のニーズに合致する要素を持っていました。

私たちはこれらの強みを活かし、「1日1組限定の一棟貸しゲストハウス」というポジションを策定し、コンセプト、コンバージョン(用途変更)、ロゴデザインなどを計画していきました。

企業が初めて行う空き家活用事業に最適な事業シナリオを

先に述べたように、京都は年間で1,830,000 人(総務省統計局国税調査 2010のデータ)の外国人宿泊客が訪れるほどの観光都市であり、ゲストハウスの需要が多くあります。

私たちは「1日1組限定の一棟貸しゲストハウス」というポジションの確立に向け、空室率やイニシャルコストなどから事業収支を予測し、最適なオペレーションを策定し提案していきました。

企業の事業内容と顧客のニーズを合致させる最適な建築解。空き家をコンバージョン(用途変更)した一棟貸しゲストハウスの提案

新規で空き家活用事業を始めさらなるビジネス拡大を図る企業。企業とのディスカッションを通して共有した「暮らしに近い体験を提供する」というテーマをふまえ、「暮らすような旅」というコンセプトを提案。

そして、そのコンセプトのもと、ゲストハウスのデザイン、ロゴ、コピーなどのデザインを提案しました。

京町家の形式を踏襲したプランニングとロゴデザイン

宿泊されるお客さまのために、老朽化していた建物を耐震補強し現代の基準を満たす耐震性能に改修をしました。

プランニングに関しては町家形式の面影が残る間取りをそのまま活かしたり、仕上げに関しては解体時にでてきたコンクリートの表し部分、耐震補強したコンクリート部分、既存部分で現在のデザインでも使えそうな部分はそのまま転用することによってコストを抑えました。また周囲の京都の町屋のベンガラの町並みの都市のイメージと合うようにファサードのデザインをベンガラの色彩としました。

そして、コストで抑えた部分の費用を宿泊客の満足度向上の為の設備性能の向上に当てました。
このようなコストバランスは、ゲストハウス事業としての収支と未来を見据えて策定していきました。

ファミリーや若い団体というターゲットへの訴求を追求したロゴデザインでは、安心感や安定感を感じさせる円形を2分し、「暮らしと旅」や「和とモダン」といった2つの要素が同居する様子を表現しました。

旅館業の許可を取得した、合法的なゲストハウスの改修・運営

企業の初めての空き家活用事業となるゲストハウス。企業が安心してビジネスを行えるようにするため、旅館業の営業許可の取得、耐震補強工事、区の建築指導課、保健所や消防署との折衝を行い徹底したサポートを行いました。

また、企業の営業エリアから遠いという懸念点をクリアする為、ゲストハウス運営業者と折衝することで企業とビジネスに最適な運営方法を提案しました。

遊休不動産となっていた空き家を収益化。空き家活用事業への取り組みが企業の新しい動きを生むきっかけに。

自社で10年間遊休不動産となっていた空き家が今回のコンバージョン(用途変更)プロジェクトを通して、利回り25%の優良な物件へと生まれ変わりました。

既存ストックの有効活用、空き家活用事業という社会の関心度が高い事業への取り組みは、企業のイメージアップにも繋がり、企業の新しい取り組みが、企業の若い世代の社員との新たな関わり合いや、ビジネスのきっかけに繋がっています。

また、今回の空き家活用事業で企業にノウハウが還元されたことで、空き家活用事業との親和性が高い、シェアリングエコノミーへの参入といったさらなるビジネスへ展開する兆しが生まれています。

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