コラム
COLUMN

2021.09.29

ゴミ置場の増築だからといってあなどれない。ゴミ置場の増築確認申請はは簡単ではありません。

共同住宅や商業施設の増築相談で意外と多いのが、ゴミ置場と駐輪場です。10m2以下なら確認申請が不要、そのように思っている人が一定多数いると思いますが、こちらのコラムで紹介した通り、防火地域や準防火地域に指定されているならば1m2でも増築したら確認申請が必要となりますので注意が必要です。
>>増築の確認申請を理解しよう!:増築の確認申請をすべて解説【完全版】

仮に確認申請が必要だとしても、ゴミ置場の増築は小さいため簡単だと思っている人も多いと思います。しかしながら容積率、建蔽率くらいなら確認できる人も多いと思いますが、建物状況によっては確認しなければいけない建築基準法が沢山ありますので、ゴミ置場でもあなどれません。

このコラムではゴミ置場を増築する時に確認するべきことを説明していきます。

検査済証が発行されているかどうか

確認済証は取得しているけど検査済証が取得していない、そんな物件も多くあります。基本的に検査済証を取得していない建物は新しく増築をすることができません。したがって、ゴミ置場の増築は難しくなってしまいます。それでも、ゴミ置場をなんとか増築したいという方には、労力がかかりますが法適合調査をお勧めしています。
>>検査済証がなくてお困りのかた

防火地域の確認

ゴミ置場を増築する敷地が防火地域や準防火地域に指定されているかどうかを確認します。こちらに指定されていなければ10m2以下ならば増築の確認申請は必要ありません。防火指定されているかどうかがわからない場合は、W EB検索で調べることができます。例えば『目黒区 用途地域』のようなお住まいの地域と用途地域という調べ方で、各自治体の地域地区図(用途地域等)全体図を閲覧することができます。そこで該当敷地を記入することで、用途地域、防火の指定、建蔽率、容積率などを調べることができます。

面積の確認

確認申請図面の中に面積表というものがあります。面積表には建蔽率、容積率の算定表があります。こちらにゴミ置場の面積を入れても建蔽率、容積率ともに問題ないかを確認します。面積表が見当たらない場合は、確認申請書の3面に容積率と建蔽率の計算をしていますので、そちらを参考にしてもよいかもしれません。昔の確認申請時と現在指定されている容積率、建蔽率が違う場合もありますので、そちらもチェックします。
ここで注意ですが、ゴミ置場を増築する前に何か別の建築物(カーポート等)を増築している場合は合わせて、増築の確認申請が必要となります。現行基準に適合していない場合は撤去が必要になる場合もあります。

建物の高さについて

建物高さの制限は道路斜線、北側斜線、隣地斜線の大きく分けると3つに分類されます。

ここで注意したいのが道路斜線です。道路斜線は緩和距離というものがあります。簡単に説明すると、緩和距離を考えない場合、例えば敷地が商業地域で道路幅員が6.0m、道路境界線から建物の距離が2.0mだとすると、建物の限界高さは8.0m×1.5=12.0mとなります。1.5は用途地域によって変わってくる係数です。商業系や工業系は1.5、住居系は1.25の係数をかけます。こちらの高さが緩和距離を考えない建物の限界高さとなります。緩和距離を使用する場合は、道路境界からの距離2.0mを倍読みして良いという規定があります。そのため、(6.0+2.0+2.0) ×1.5=13.5mとなり建物は13.5mまで立てて良い事になります。
この話は一見、ゴミ置場の増築と関係ないように感じますが。建物が緩和距離を使っていて道路斜線がギリギリの建物を建てていた場合は、ゴミ置場を建てる事によって緩和距離が使えなくなってしまうこともありえます。

道路斜線の緩和を使おう(法56条2項、令130条の12)

道路斜線の緩和が使えなくなってしまった場合でも、建築基準法の高さ制限に該当しない構造物の規定を満たせば、ゴミ置場をそのまま建てることができます。

・前面道路の路面の中心から軒高2.3m以下、かつ床面積の合計5m2以内。

・前面道路に接する長さの1/5以下であること

・前面の道路境界線からの後退距離1m以上。

こちらの規定を満たせたばゴミ置場があってもセットバック緩和距離を使用することができます。

道路斜線の緩和を使おう(天空率)

道路境界線から1mもセットバックしたらゴミ置場が作れない。商業系の敷地なら建蔽率も100%に近いこともあるので、条件を満たすことが難しい場合もあります。

その場合は天空率を使用します。

天空率は観察点から見える建物の面積と空の面積の比率を比較して空の比率が大きければ道路斜線に関係なく建てることができる検討です。ゴミ置場のように建物高さに比べて低い建物の場合は比較的問題ない場合も多いです。

道路斜線もダメならば

道路斜線がダメな場合の最終手段としては道路中心線から1.2m以下のゴミ置場を作るということが考えられます。共同住宅用の既製品で販売されているゴミ置場が1.2m以下の理由はこのような理由があります。

既存不適格の確認

建物が最後に確認申請をしてから確認申請に必要な建築行為をしていないか(用途変更、増築等)確認しなければいけません。増築や用途変更をしている場合は、その部分も含めて確認申請が必要となります。

最後に

ゴミ置場でも注意しなければいけないことが沢山あります。この他にも各自治体の条例等の確認も必要となりますので、意外と建築士の業務として考えると、建築基準法と建築基準法関係規定を包括的に理解しなければ難しいです。

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