コラム
COLUMN

2019.06.08

<法改正解説>(100m2→200m2)用途変更の確認申請規模変更、3階建て200m2以下の特殊建築物の耐火構造の緩和について

FaceBookでも投稿しましたが、6月10日に国交省の担当官より今回の法改正についてお話を聞きました。その時のお話では用途変更の確認申請手続きの緩和(100m2→200m2以下)の法改正は6月26日に施行されるのが濃厚とのことでした。したがって、6月27日以降は200m2以下の他用途への転用は建築確認申請手続きが不要になります。今回の法改正では既存ストックの用途変更による活用が主旨としてあります。用途変更の緩和についてはみなさんよく理解している人が多いですが、既存ストックの有効活用をするために3階建て200m2以下の特殊建築物の耐火構造の緩和も大きな法改正となりますので、今回はそちらについても解説していきます。

3階建ての戸建て住宅を他用途に転用する場合の規制の合理化(法27条関係)

現在の法律では木造3階建ての特殊建築物への用途変更は難しかった

例えば3階建ての戸建て住宅をグループホーム(児童福祉施設等に該当)に改修する場合は、下記の表の通り(法別表第1)3階建てであるだけで在館者の安全と避難を考え、壁・柱等を耐火構造とする改修が必要になります。耐火構造と言われても建築に従事していない方はピンとこないと思いますが、木造を耐火構造の仕様にしようとすると、現状の法律では建て替えに近い費用が必要になってきます。これでは、既存のストックを活かすことはとてもできません。
そのような点を踏まえて、今回の法改正では3階建て200m2以下の場合は耐火構造にしなくてもよくなりました。耐火構造にしなくてもよくなった背景としては、小規模な建物の場合は火災初期の状況は用途による差が小さいためです。避難や安全を考える場合は3階以上がキーポイントなります。これは火災などの災害が発生した場合、3階以上になると避難の難易度が格段に上がるからです。小規模建築物の3階部分だけを比較した場合、特殊建築物の在館する人数の差は住宅とさほど差がないためとも言えると思います。

ここで一つ注意点があるのですが、新築で建物を建てる場合は建築基準法で耐火構造にするかどうかは、用途によって決まる場合と防火地域に指定されているかどうかで決まります。仮に木造3階200m2以下の新築としても、建物を建てる場所が防火地域に指定されている場合は耐火建築物にする必要があります。建物を耐火建築物にするかどうかは、用途と場所、両方をチェックすることが必要です。

小規模建築物に関する基準について

耐火構造を免除されたら他に何もしなくても良いのかというとそうではありません。3階建て、200m2以下の建物で耐火構造としないものは、建物の利用状況によって以下の対策が必要になります。
・就寝利用をする建物は自動火災報知設備等の警報設備が必要になります。
・就寝利用をする建物で自力で避難することが難しい人が利用する建物は、さらに竪穴区画といわれる、階段部分と寝室を区画することにより、避難するための階段の安全を確保する措置が必要になります。

用途変更確認申請の手続きが100m2→200m2へ、戸建て住宅から他用途への転用の際の手続き不要の対象を拡大(法6条関係)

こちらの法律の主旨は戸建て住宅のストック転用の手続きの緩和のために制定された法律ですが、戸建て住宅以外にも適用されます。現在ある戸建住宅ストックの内、約30%が100m2未満、約60%が100m2以上〜200m2未満、約10%が200m2以上となっています。こちらの法律が施行されることによって、戸建て住宅の90%が用途変更の確認申請が不要になるので、用途変更のスピードが格段に上がると考えられます。用途変更の確認申請の許可が交付されるまでに、申請から許可まで1ヶ月くらいは時間がかかってしまいますので、ほとんどの戸建て住宅の用途変更において恩恵を受けることができます。ただし、確認申請手続きが不要なだけで建築基準法への適合は必要になってきますので、その点はご注意ください。

維持保全計画作成の対象特殊建築物について、あらたに3階建てかつ100m2〜200m2であるものが追加されました

今回の改正において、建築基準法第6条1項1号の対象建築物が100m2超から200m2超に変更することによって、定期報告の対象となる建築物も変更となります。以前は3階建て以上の階にあるもので100m2を超えるものから、数値が200m2に変更になります。その代替措置として、階数が3以上、100m2〜200m2以下であるものは維持保全計画が必要となります。

維持保全計画とは、国が示した維持管理指針に応じて維持管理計画を事業者が策定したものです。
小規模建築物の場合は
・維持保全を行うための責任者
・点検時期(原則毎日)
・点検にあたっての判断基準(避難・防火)と点検記録
・竣工図、点検結果等の保管

が挙げられます。

今回は既存建築ストックの用途変更による活用を推進するための法改正についての解説をしました。
引き続き、法改正について当ブログにて解説していきますので、できる限り情報を早く知りたいという方は、弊社のFacebookページを「いいね」または「フォロー」することで、いち早く情報を得ることができますので、どうぞよろしくお願いします。

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