2018.08.17

違反建築物と既存不適格建築物の違いについて

違反建築物と既存不適格建築物は全く意味が違います

建築関係者ではない方で違反建築物と既存不適格建築物の違いを区別できる方はほぼいないと思います。似たような言葉のように感じますが、意味が全く違ってくるので違いをしっかり理解することが大切です。

違反建築物とは

違反建築の建物は大きく2つのパターンがありますので、該当するか確認してみてください。

1、建築当時から建築基準法に適合していない建物
建物を建てるときに建築確認申請を提出して検査済証の許可を得ていなかったり、確認検査済証が発行されていても、工事が完了したときに完了検査済証を発行されていないパターン。
2、建築が完成後に違反建築になってしまった建物
確認申請が必要な増改築工事、用途変更にも関わらず、確認申請を行政や確認検査機関に提出して許可を得ていないパターン。

違反建築物で最悪の場合は行政からの建物の除却や使用禁止処置とうの命令、強制執行がおこなわれてしまいます。

既存不適格建築物とは

既存不適格について

既存不適格建築物とは竣工時は完了検査を受けて検査済証を交付されていて適法であった建築物が
年月を経て建築基準法等の改正によって、新しい法律に適合しなくなってしまった建築物のことを指します。
既存不適格建築物というと、びっくりしてしまいますが大げさに言ってしまうと
大きな法律の改正があり法改正に該当する建物の場合は、ほとんどの建物が既存不適格になってしまっています。
建てた当時は合法ですので違法建築物とは分けて考える必要があります。

既存不適格建築物の例

既存不適格の例は例えば以下のようなものがあります。

・もともとは4m未満の道路が2項道路の規定によって4m以上に道路幅員を広げなければならなくなり
敷地が削られてしまい、建ぺい率、容積率などの制限をオーバーしてしまった。 
・建物を建てた後に用途地域が住居専用地域に指定されたため、建ぺい率、容積率の制限が引き下げられ
建ぺい率、容積率などの制限をオーバーしてしまった。
・1976年の建築基準法改正の日影規制前に建物を建てられていたため、建物の増改築、建て直しをする際に
日影規制に抵触して違反建築になってしまう。
・旧耐震基準で建てられたため増改築、用途変更等を行う際に既存部分が耐震不足となり違反建築になってしまう。

みなさんが所有している建物はどうでしょうか。該当する場合、確認申請をともなう増改築、用途変更を考えている場合には注意が必要です。また建替えを考えている場合も現況と同じ大きさが建たない場合もあります。

既存不適格建築物になると実際どうなるのか

建築基準法は原則的には建築確認済証を受けた時の法律に適合していることを求めているため
みなさんが既存不適格建築物の建物を利用し続けることは問題ありません。

増改築や用途変更をする場合は工事をする部分はもちろん、工事をしない部分、つまり建物全体にも現行法への適用が要求されます。
しかし建物の利用状況によっては非常にコストがかかってしまったり、入居者に対する説明も簡単ではありません。
そのため工事をしない部分に関しては緩和規定が設けられています。

緩和規定について

既存不適格建築物を増改築、用途変更する場合は現在の建築基準法に適合させなければいけません。
建物の緩和規定は建物の用途、規模、増改築の内容により緩和規定があります。

建築基準法第3条第1〜3項の緩和規定について

既存不適格建築部に対する緩和規定の条文は建築基準法第3条第1〜3項に記されており以下になります。

建築基準法第3条
第1項
文化財保護法 (昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によつて国宝、重要文化財、重要有形民俗文化財、特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物

旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によつて重要美術品等として認定された建築物

文化財保護法第百八十二条第二項 の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(次号において「保存建築物」という。)であつて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの

第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの つまり国が指定した文化的価値があるものに関しては除外しますという内容です。


第2項
この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。

第3項
この法律又はこれに基づく命令若しくは条例を改正する法令による改正(この法律に基づく命令又は条例を廃止すると同時に新たにこれに相当する命令又は条例を制定することを含む。)後のこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用の際当該規定に相当する従前の規定に違反している建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分
都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域若しくは工業専用地域若しくは防火地域若しくは準防火地域に関する都市計画の決定若しくは変更、第42条第1項、第52条第2項第二号若しくは第三号若しくは第八項、第五十六条第一項第二号イ若しくは別表第三備考三の号の区域の指定若しくはその取消し又は第52条第一項第六号、第二項第三号若しくは第八項、第五十三条第一項第六号、第56条第一項第二号ニ若しくは別表第三(に)欄の五の項に掲げる数値の決定若しくは変更により、第43条第一項、第四十八条第一項から第十三項まで、第五十二条第一項、第二項、第七項若しくは第八項、第五十三条第一項から第三項まで、第五十四条第一項、第五十五条第一項、第五十六条第一項、第五十六条の二第一項、第六十一条若しくは第六十二条に規定する建築物、建築物の敷地若しくは建築物若しくはその敷地の部分に関する制限又は第四十三条第二項、第四十三条の二、第四十九条から第五十条まで若しくは第六十八条の九の規定に基づく条例に規定する建築物、建築物の敷地若しくは建築物若しくはその敷地の部分に関する制限に変更があつた場合における当該変更後の制限に相当する従前の制限に違反している建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分
工事の着手がこの法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の後である増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替に係る建築物又はその敷地
前号に該当する建築物又はその敷地の部分
この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に適合するに至つた建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分

上記の内容は、建築済証、検査済証を取得した建物に関しては、新たな規制を適用しないという内容です。
3項の規定は前項の規定は次の各号のいずれかに該当する建築物、建築物の敷地又は建築物
若しくはその敷地の部分に対しては適用しないというものです。  

非常に難解ですが従前の規定を準拠していない違反建築物は現行法に適合する必要があります。
また、増改築や大規模の修繕又は模様替えを行う際には規制に適合しなければいけません。

こちらの第3条は古い時代に制定されたため杓子定規な原理原則の法律となります。
より実用的な緩和規定は以下の法律を参照します。

増改築や大規模の修繕又は模様替えをした場合に、既存不適格が継続できるかどうかは
建築基準法第86条の7第1〜3項に記されています。

既存不適格について論じる場合に非常に肝となる条文です。

建築基準法第86条の7第1〜3項の緩和規定について

建築基準法86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和) 
第3条第2項(第86条の9第1項において準用する場合を含む。以下この条、次条及び第87条において同じ。)の規定により第20条、第26条、第27条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第30条、第34条第2項、第47条、第48条第1項から第13項まで、第51条、第52条第1項、第2項若しくは第7項、第53条第1項若しくは第2項、第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項、第57条の4第1項、第57条の5第1項、第58条、第59条第1項若しくは第2項、第60条第1項若しくは第2項、第60条の2第1項若しくは第2項、第60条の3第1項若しくは第2項、第61条、第62条第1項、第67条の2第1項若しくは第5項から第7項まで又は第68条第1項若しくは第2項の規定の適用を受けない建築物について政令で定める範囲内において増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替(以下この条及び次条において「増築等」という。)をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、これらの規定は、適用しない。

2  第3条第2項の規定により第20条又は第35条(同条の技術的基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。以下この項及び第87条第4項において同じ。)の規定の適用を受けない建築物であつて、第20条又は第35条に規定する基準の適用上1の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分(以下この項において「独立部分」という。)が2以上あるものについて増築等をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、当該増築等をする独立部分以外の独立部分に対しては、これらの規定は、適用しない。
 第3条第2項の規定により第28条、第28条の2(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第29条から第32条まで、第34条第1項、第35条の3又は第36条(防火壁、防火区画、消火設備及び避雷設備の設置及び構造に係る部分を除く。)の規定の適用を受けない建築物について増築等をする場合においては、第3条第3項第三号及び第四号の規定にかかわらず、当該増築等をする部分以外の部分に対しては、これらの規定は、適用しない
4  第三条第二項の規定により建築基準法令の規定の適用を受けない建築物について政令で 定める範囲内において移転をする場合においては、同条第三項第三号及び第四号の規定に かかわらず、建築基準法令の規定は、適用しない。

第1項 →建物の小規模の増改築等を認める緩和規定です。
第2項 →既存部分に独立しているとみなされる部分が複数ある場合に、離れているところの独立している既存部分には既存不適格が継続するというものです。
「建物の増改築等をする場合、増築部分が既存部分と独立していると認められた場合に既存部分が既存不適格が継続されるという緩和規定です。
第3項 →既存の不適格部分はそのまま既存不適格とし,増築部分には現行の基準法を適用する緩和規定です。
第4項 →移転に関する内容です、敷地内外に移転する場合、既存不適格が継続するという緩和規定です。

違反建築にならないために

既存不適格部分に現行法が波及する部分、緩和される部分の判断は建物が置かれる状況によっても変わってくるため、専門家に相談することが非常に大切になってきます。

>>「検査済証がなくてお困りのかた」

ご相談は無料です。お気軽にご連絡ください。

ご相談フォームへ