コラム
COLUMN

2018.12.04

用途変更の費用負担の要因と対策方法について

用途変更の費用について

建物の用途を変更して特殊建築物にする場合

・規模が200㎡以内の変更

・類似用途への変更

平成30年6月27日に公布された「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)」により、2019年6月26日から建築基準法第6条第1項第一号建築物の面積要件が100m2超から200m2超に変わりました。

>>国土交通省のHP

上記2つの場合を除き、用途変更確認申請の手続きが必要になることを理解されている方はいらっしゃると思いますが、200㎡以内の用途変更を行う際にも場合によっては確認申請が必要になるということを理解されている方は少ないのではないでしょうか。

上記以外にも、空き家や空きビルなどを対象に用途変更を行う際に、どのような手続きが必要なのか、正しく理解できていないと思わぬコストやスケジュールのロスが発生してしまいます。 今回の記事では、用途変更の費用負担に関してその要因や理解しておきたいことについて解説していきたいと思います。

「用途変更をしたいが、何から始めていいかわからない」という方のために、これまで最適建築コンサルティングが書いてきた用途変更に関する記事の内容を要約して解説しているまとめ記事がありますので、この機会に振り返っていただけると内容がより理解しやすいかと思います。

>>「用途変更の確認申請を理解しよう1<一括解説>」

また用途変更について別記事でもまとめていますので、そちらも参照してください。

用途変更の費用負担の要因①:関連法規とプロフェッション

用途変更の確認申請を行う上では、主に次のような法規が関わってきます。

・建築基準法

・条例

・消防法

・保健所などの関係法令

用途変更の手続きをする場合、建築基準法だけではなく、都道府県の条例があります。 例えば東京都の場合、東京都安全条例、福祉のまちづくり条例が有名です。 その他にも消防法、用途によっては、保健所など様々な関係法令、機関との折衝が必要になってきます。建築基準法上は問題なくても、消防法上で問題がある場合、建物の完成後に許可が下りず、再度工事を行う必要が出てくるなど、スケジュール、コスト面で大きなロスが発生することにつながるので十分に確認する必要があります。

特に許認可が必要になってくる、旅館業、保育施設、福祉施設などは複雑です。許認可が必要な用途への用途変更の場合は、後述にもありますが、申請に完了検査済証や消防の適合証明書が必要な場合が多いです。

また、「用途変更の確認申請を理解しよう1<規模と用途>」でも紹介していますが、テナントが複数入っているビルなどでは、200㎡以下の用途変更を行う場合でも確認申請の手続きが必要になる場合もあります。

このように、用途変更は、法規に関する知識や技術力、豊富な経験などがない場合、進めることが非常に難しいです。 近年は特に既存建物の有効活用に対する関心が高まっており、「用途変更」を考える方も増えてきておりますが、一方で用途変更確認申請の申請を行うテナント内装業者などが用途変更に精通していることが少ないというのが現状です。

テナント内装業者が用途変更についての理解が乏しいまま進めてしまうと、本来必要のないはずの工事や手続きなどが発生してしまい、コストやスケジュールが正しくないまま進んでいってしまう場合もあります。 このような事態を避けるためには、法規の知識や豊富な経験、技術力を持ち、行政と正しく折衝を行いながら用途変更を勧められる設計事務所に相談することが非常に重要になります。

テナント内装業者側が用途変更の費用負担の要因となる一方で、空き家や空きビルといった既存建物のオーナー側が用途変更の費用負担の要因となる場合もあります。次項で確認していきましょう。

用途変更の費用負担の要因②:必要書類の不備

用途変更を行うにあたり、既存建物が当時の法規に乗っ取って建てられたことを証明する必要があります。しかし、オーナーの管理状況によっては必要書類に不備がある場合があります。

用途変更を行う際には次の書類が必要になりますので、確認しておきましょう。

・検査済証

・確認済証

・消防適合証明書の書類の確認

・既存図面の確認(確認申請図、竣工図、構造計算書)

上記の書類に不備がある場合には、それぞれの書類を復元したり、別途必要な手続きを行うために時間とコストをかけて調査を行う必要が出てきます。

用途変更の具体的な手続きについては、こちらの「用途変更の確認申請を理解しよう2<手続きの流れ、必要書類>」の記事でも紹介しておりますが、行政などとの折衝を綿密に行なっていく必要がありその際に、上記の書類が必要になります。

このような事態を避けるためには、上記の必要書類を把握し、適切に管理しておくことが重要です。もし、確認済証や検査済証を紛失してしまっていても、確認済証や検査済証を一度発行していれば、検査済証にかわる証明書を発行することができます。

最適建築コンサルティングでは、確認済証、検査済証が発行されているか不明なお客様に対して、少額で確認済証や検査済証の発行の有無の調査業務も行なっています。

>>検査済証、確認済証の再発行サービスはじめました(代替書類)

また、資料の確認時に確認済証、完了検査済証がない場合は、別の手続きが必要になってくる事がありますので、検査済証がない場合は、その対応方法について理解しておくとスムーズです。

>>「検査済証がなくてお困りのかた」

用途変更の費用負担の要因③:既存部分に不適合部分がある場合は要注意!

既存部分に無許可増築などの不適合部分があっても費用負担が増えが増えます。不適合部分を是正するまたは用途変更と同時に増築部分も申請する等の必要が出てきます。そのため誰が費用負担をしていくのかも含めて是正計画を考えていかなければいけません。

用途変更の費用負担の要因④:まとめると

費用負担についてまとめると以下の4つの項目に当てはまる場合に費用がかかりやすくなります。

検査済証がない(紛失はOK)

圧倒的に難易度が高くなってしまう状況です。検査済証がない場合は設計事務所から断られてしまう場合も多いと思います。検査済証がない場合はガイドラインを利用した法適合調査もしくは12条5項の報告書を提出してから、確認申請を提出する流れになります。
検査済証がなく構造図がない状況だと、構造計算書の復元まで求められることが多いため、新築の設計費用よりも費用がかかる場合があります。
こちらの場合は建物の状況により費用と難易度が高くなっていきます。弊社でも一番相談を受ける内容となります。

建築図面がない

建築図面がない場合も費用が高くなります。建築図面がない場合は既存図面を復元しなければ確認申請を出すことができません。復元する場合は用途変更をするフロアだけではなく建物全体の図面(配置、平面、立面、断面、面積表等)が必要となります。規模が大きくなればなるほど、復元の難易度が上がっていきます。
設備図面も同様で設備図が無い場合も必要最低限は復元する必要があります。

既存部分に不適合部分がある

既存部分に無許可増築などの不適合部分があっても費用が増えています。不適合部分を是正する必要が出てきます。是正計画も含めて考えなければいけません。よくある内容としてはゴミ置場の増築があげられます。

許認可申請がある

旅館業の許可、保育所の許可等の、許認可関係でも、関連法規が増え、そちらの申請も必要になってくるので負担が増えてしまいます。建築基準法では問題なくても旅館業法では成り立たない場合もあります。

用途変更の費用負担を少なくするための対策について、結局どうすれば良いのか

用途変更の費用負担はオーナー側が支払う場合もありますが、基本的には店子側が負担することが多いです。オーナー側の立場から考えると費用負担が大きくなると店子はつきにくくなってしまいます。立地や建物の状況が良くても用途変更ができないために店子がつかないという経験は、物件を多数所有しているオーナーならば経験していると思います。そうならないためにも建物を適切に管理することが大事になってきます。まずは現在の建物状況を把握するところから始めることが大事です。
反対に店子側の視点から考えると費用負担がかからない物件を選択することが大事となります。そのためにも図面の有無、確認済証や検査済証の有無が大事になってきます。上記にもありますが、検査済証がない場合は法適合調査が必要になります。図面がない場合は図面の復元が必要になります。
どうしても、物件条件が良い場合は、それらの負担(時間とお金)を考えての物件選択が必要となります。

用途変更を依頼するなら最適建築コンサルティング

私たち最適建築コンサルティングは、一級建築士事務所としての法規の知識や技術力、行政と正確に折衝を行う交渉力を活かしてお客様の用途変更確認申請に伴う費用負担を最小限に押さえるための徹底したサポートを行なっています。 空き家や空きビルなどの既存建物の有効活用をご希望の方は、私たち最適建築コンサルティングにご相談ください。

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