弊社では検査済証がない建物の用途変更だけではなく、通常テナントの用途変更、出店コンサルもおこなっております。こちらのプロジェクトは、愛知県の名古屋市栄区でのレコード会社の出店計画です。こちらの物件に決定するまでに何件か出店候補が上がっては、建築的な条件があわず出店までにはいたりませんでした。
ある程度以上の売場面積を有する店舗の出店は月当たりの賃料、保証金も莫大になってきます。出店がきまってから、想定外の出店コスト増大を防ぐためと、企業のコンプライアンスの問題から出店予定の建物が建築基準法、消防法等の問題がないかの調査と用途変更の手続きまでが弊社への依頼でした。

このプロジェクトは、愛知県名古屋市の商業ビルの2階を用途変更して、物品販売業を営む店舗を開店するという計画です。物品販売業を営む店舗というと建築設計に関わりのない人からすると、どのような店舗か具体的にイメージできませんが、服屋、本屋、青果店、コンビニなどが該当します。
ご相談頂いた内容は、「内装設計はテナント側の内装設計事務所が計画をするので、建築基準法、消防法等の法規監修と行政の折衝を行って欲しい」とのことでした。

<事業データシート> 構造:鉄骨鉄筋コンクリート造 規模:地上9階地下1階建 敷地面積:375.03㎡ 建築面積:343.24㎡ 延床面積:2993.00㎡(用途変更面積:276.89㎡) 既存用途:飲食店 確認済証:取得済 検査済証:取得済 目的:物品販売業を営む店舗への用途変更、出店調査

出店調査について、既存不適格の確認と出店が可能かどうか。

今回、出店を予定している建物は複合商業ビルです。建物図面資料、消防点検資料、エレベーター点検資料等、は全てそろっていました。また、出店している他階のテナントも用途変更をしており、オーナー側もそちらの資料を全て所持しており建物管理としても問題ない状況でした。

大規模な建物の場合は、建物内部に建物管理をおこなっている会社が入っていることが多いです。名前は防災センター等さまざまですが、そちらが建物営繕や賃貸を管理していてくれます。しかし中規模の建物の場合は、建物全体を管理するための費用を捻出することが難しく、場合によってはテナントを把握できていない無法ビルになってしまっている場合があります。
そのような建物に新規で入るにはそれなりに調査が必要であり、場合によっては他テナントと一緒に確認申請を提出しなければいけないような状況の場合もあります。

調査内容は検査済証が取得しているかどうか等の既存不適格の確認と、用途変更をした場合にどのような設備が必要かどうかや用途変更時に必要な各種条例等の手続きも調べて報告します。
建築基準法の観点で述べると例えば、検討する用途や面積によっては階段が2つ必要になってしまったり、廊下幅の規定があったり、様々な規定が発生します。それを事前に想定することで円滑な出店計画が可能となります。また、建築条例も地方によっても違ってきており、例えば今回の場合はまちづくり条例の協議を工事着工の30日前までに終えてなければいけませんでした。
消防法令の火災条例も地域ごとに変わってくることも多く、物品販売業を営む店舗の場合は廊下幅等の規制が出てくる場合があるため注意が必要となります。

繰り返しますがこのように、まずは既存資料の確認、現地調査と行政との打合せ、出店プランの確認をテナント契約前に確認することが非常に大事になってきます。

用途変更設計プランの確認

今回は出店計画を立てているクライアントには内装設計を行う、設計事務所が入っています。そのためクライアントと内装デザイン業者の協業が必要になってきます。内装デザインを行う設計事務所はインテリアをメインに行なっているため、規模が大きい建物になってくると建築基準法に関わってくる規制が複雑になってしまい、手に負えなくなってしまうことがあります。用途変更する階が一つでも、建築基準法や消防法では建物全体に規定が遡及することも多いため、新築時の原設計の防災計画や防火区画の意図を汲むことができないといけません。そうしなければ建物全体が不適合になってしまう事があるため注意が必要になってきます。

私たちの業務としては建物全体の設計主旨(防火、防災計画)を読み取り、用途変更した場合に守るべき防火区画や仕様を内装デザイン事務所と共有します。

消防署予防課との打合せ

用途変更をする上で消防署との打合せは確認申請機関と同じくらい大事になってきます。なぜなら建築基準法では200m2未満の用途変更については申請が必要なかったり、特殊建築物でない用途、類似用途の用途変更に関しては確認申請が必要ないからです。そのため、消防署との事前打合せによって建物に必要な消防設備がわかります。消防設備は建物の用途や、面積、建物を使用する人の数等よって必要な消防設備が変わります。
そういった意味では消防署が一番、現況の建物用途について把握していることになります。しかし、管理が行き届いていない建物になると、現況用途と消防に届けられている用途が違う場合があります。その場合は、消防の指導によっては他のテナントも含めた用途変更も必要になる場合がありますので注意が必要となります。
ちなみに地方によって呼び名は変わりますが、ほとんどの場合は予防課という部署が消防法についての審査をします。審査に関しても確認が必要ない用途変更の場合は所轄の消防署、必要な用途変更の場合は大きい消防署に相談することになります。
以前は用途変更の場合は消防法と建築基準法が同列に見られていない場合も多く、消防署では消防法のみの指摘となっておりましたが、近年は建築基準法についても消防の審査課が勉強をしていることも多く、内装業者が消防署へ着工届を提出しにいく段階で、確認申請を提出するように消防署の予防課から指導される場合もあります。

消防署との打合せは現況用途の確認と必要消防設備の確認が必要となりますが、その他にも消防設備のレイアウトの確認が必要となります。事前にレイアウトを確認することによって、工事業者が防災設備の着工届を提出する際に円滑に進むことができます。
また消防署との打合せ記録は議事録として残し、クライアント、インテリア事務所、消防署担当者と共有することが大事になってきます。またこちらの防災計画の主旨を共有する上でも有効です。

用途変更の確認申請

確認審査機関の審査

物品販売業を営む店舗の場合は大きな建物の場合は基準法ではまずは防火区画を主に審査されます。詳細は専門的になるため割愛しますが、建物がどのような範囲で区画を行うのか、区画を行う場合は特定防火設備の区画が必要なのかなど、区画の計画がわかるように記載することが必要です。
その次は、採光、換気、排煙、シックハウス計画が問われるので、それらの計算や緩和を用いる場合は緩和の条例等の記載が必要となります。

今回の場合は排煙は自然排煙で全てまかなえるため排煙設備を有効活用できるようにレイアウトを考えてもらいました。

消防機関の審査

消防機関の審査は基本的に事前協議をしてもらっているため、消防の審査は事前協議通りの設計になっているかどうかの確認になります。事前協議を行っていないとこちらの審査で時間がかかってしまいますので注意が必要です。消防審査に関しても地域によって条例があり東京都安全条例、名古屋市安全条例など地域によって微妙に内容が変わってきますので注意が必要になります。

行政の審査

行政は建築指導課や都市計画課等の回覧を経て確認審査機関に審査内容を送ります。建築計画に関しては確認審査機関の受け持ち部分のため基本的には集団規定やインフラ関係を除きここでは質疑が出て来ませんが、各自治体の条例など用途変更の場合でも届出が必要であるにかかわらず、届出が出ていない場合は確認が交付されない場合があります。このような条例を建築基準法関係規定と言います、つまり建築基準法だけではなく各種自治体の条例を満たす必要があるため行政調査は事前に必要となります。

用途変更の場合は完了検査は必要なのか

無事に工事が終わったら工事完了届けを行政の建築指導課に提出する必要があります。こちらは現地検査がないため提出を忘れてしまう場合が多いので必ず忘れず提出することが大事です。
また消防に関しては変更の内容によって現地検査に来るかどうかが決まります。用途変更の確認申請を伴う工事の場合は、現地検査はほぼありますので検査日程を工事の工程表に盛り込む必要があります。

最後に

今回のプロジェクトでは、検査済証もあり、既存の図面も建物の管理会社が保存していたため円滑に用途変更を行うことができました。
用途変更の場合は用途変更する用途や建物の規模によって、法規のおさえどころが変わってきます。また、自治体によって基準も変わってきますので、一案件ずつ丁寧な調査が必要となります。

建物の用途変更、確認申請をご希望の方はぜひ最適建築コンサルティングにご依頼ください。

>>用途変更の確認申請を理解しよう

検査済証がない建物は、どのようにして児童福祉施設等(保育園)へ用途変更すればいいのか?

このプロジェクトは、茨城県に建つ平屋建て木造飲食店を用途変更し、保育所を開設するという計画です。ご相談頂いた内容は、「用途変更する面積は200m2未満であり確認申請は必要ないが、保育所として用途変更を行う際に許認可されるためには建物が建築基準法関係規定に適合している必要があるが、物件に検査済証が取得されていなかったことがわかった。」ということでした。このように確認申請が必要ない規模である面積が200m2未満であっても、検査済証がない場合は建築基準法関係規定に適合しているかどうかが求められます。少し前までは建築士の一筆のみで法適合が認められてきましたが、最近では法的根拠を求められる事が多くなってきました。

<事業データシート> 構造:木造在来工法 規模:地上平屋建 敷地面積:900㎡ 建築面積:185㎡ 延床面積:185㎡ 既存用途:飲食店 確認済証:取得済 検査済証:未取得 目的:保育所への用途変更、許認可の申請

許認可系の場合は既存建物を法適合させることを前提で借りることも前提としてはありです。

このプロジェクトでは、オーナーが保育園の開設を目指す過程で弊社に依頼がきました。オーナーの物件探しの実情としては、保育園を開設したいが条件の良い物件が見つかっても、検査済証がないという理由からあきらめている事が多いとのことでした。そのため何とか用途変更できる物件を一緒に探して欲しいとのことでした。保育園の開園を目指す場合は建築基準法以外にも児童福祉施設の設備及び運営に関する基準や地域によってはバリアフリー条例等で細かく規制がされています。せっかく基準に合った建物であっても検査済証がないためスタート地点に戻るという繰り返しが起きています。そうなってくると、検査済証がない建物でも法適合をさせることができるのならば、何とか法適合をさせたいという考えもでてきます。

今回の建物は木造平屋建てで敷地が広くまさに保育園を運営するには最適の敷地条件でした。また詳細図面はありませんが、木造平屋建てスケルトンのため調査自体は行いやすい条件でした。

ただし、注意しなければいけないこととして違反部分がある場合は是正をしなければいけないという事です。検査済証が発行されていない理由としては違法増築や高さ違反等が考えられます。大幅な是正工事が発覚して途中で断念せざるをえない状況も考えられます。そのため、弊社では事前調査をおすすめしております。事前調査は有料ですが目視で確認できる部分で現況建物が問題ないかを確認します。問題があった場合でも是正工事するのか、その物件の契約をあきらめるかの判断の参考となります。今回の物件でも事前調査の上、法適合調査に進むことになりました。

検査済証がない建物を活用するための「法適合状況調査」はどのように進めるのか?木造平屋建ての場合

用途変更の確認申請を行う場合や今回のように許認可の申請で建物の建築基準法関係規定への適合状況の証明を求められた場合、検査済証の有無が非常に重要なポイントとなります。原則的に検査済証がない建物については、確認申請を行うことができませんが、国土交通省が2014年に設けた「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」に基づいて、調査、報告を行うことで確認申請を行うことが可能な場合があります。

>>検査済証がない場合のガイドライン、法適合状況調査

それでは、具体的にどのような調査、報告を進めていくのかを紹介します。

検査済証がない建物を活用するためのガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する

用途変更を行うために、まずは敷地条件を確認しましょう

まず私たちが行ったのは建物が該当するエリアの敷地条件の確認です。 特に重要なのが、既存建物の用途地域が用途変更を行える地域か確認することです。この物件の該当するエリアの用途地域、防火地域は以下の通りでした。

用途地域:第2種住居専用地域

防火地域:法22条地域

用途変更を行う際にチェックすべきその他の敷地条件に関する補足

上記の他にも立地条件によっては接道する道路の幅員や高度地区、日影規制などに該当する場合があります。用途地域、防火地域などは役所のホームページでも確認が可能です。(一部地域では確認できない場合もあります。その場合は直接役所に問い合わせて確認することができます。)今回の敷地では、建物が建てられた当時と用途地域、容積率、建ぺい率、高さ制限などが変わっていませんでしたが、変わっている場合もあるので注意が必要です。
また保育所が建てられる用途地域かどうかも重要な確認事項となります。今回はつくば市役所行とガイドラインを用いた用途変更に関する協議を行った結果、指定確認検査機関が求める要件を満たす調査を行うように指導を受けました。それでは、実際にどのような調査を進めて行ったのか解説していきたいと思います。

検査済証がない建物をガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する際に求められた調査内容

検査済証がない既存建物を活用する為のガイドラインを用いた既存不適格建築物の証明の為に指定確認検査機関から要求された調査項目は以下の通りでした。

・図面が当時の建築基準法を満たしていること。

・図面通りに施工が行われていること

・構造躯体の強度に問題がないこと。

検査済証がない建物の現況調査を行います。

1)現場調査

敷地条件が確認できたら、現場調査では主に実測を行いながら、違反箇所の確認を行なっていきます。違反箇所としてよくあるのが、違法増築や建物が防火地域、準防火地域に該当しているのにもかかわらず防火要件を満たしていないこと、火災時の避難経路が確保されていないなどです。違反箇所が見つかった場合には是正を行う必要が出てきます。今回の建物では敷地の高低差、建物の高さが一部違う箇所がありました。それらの部分を検討した結果、致命的な違反にはなりませんでした。

2)机上調査・図面の復元。

実測した内容をもとに図面を復元していきます。ここで確認すべきことは確認申請時から面積が増えていないか、建物の高さは守られているかなどの集団規定の違反です。今回の建物は確認申請時からの変更はありませんでしたが、もし違反があった場合は建物の一部解体などの工事を伴う場合もありますので、注意が必要です。

3)構造調査

法的な違反がないことを確認したあとは、建物の構造に問題がないかを確認していきます。必要に応じて天井や壁を一部壊して目視にて確認します。今回の建物は木在来工法であり、スケルトンリフォームを予定しているため、調査自体は行いやすい状況でした。

コンクリート基礎部分は、超音波による配筋調査とコア抜きによる強度圧縮試験、中性化試験などを行いました。また、敷地内にある擁壁(工作物)の構造についても調査を行いました。地域によって変わりますが、敷地境界内高さ2mを超える擁壁や崖がある場合は崖条例に関わる場合があるので注意が必要です。

ガイドラインを利用して検査済証のない建物の法適合状況調査報告書を取得する

ここまでの内容を調査結果としてまとめて、第三者検査機関である指定確認検査機関に法適合状況調査を申請することによって、検査機関の検査員がこちらの提出した資料をもとに現場検査にきます。そして問題がないようであれば建築基準法関係規定に適合していることが証明されます。もう少しわかりやすく説明すると、もう一度完了検査を受けるようなイメージです。今回のプロジェクトではこれまでの調査などをおこなってきたおかげで、重大な指摘事項がなく、報告書で法適合と判定されました。これにより新たに確認申請や保育所への許認可申請を行うことが可能になりました。

検査済証がない建物の現況調査が完了すれば、用途変更に向けて計画を進めていくことが可能になります。

今回のプロジェクトでは、用途変更に伴う保育所への設計監理業務は請け負わなかったため、法適合状況調査の終了時点で設計会社さんにバトンタッチです。ただし、設計を行わないとしても事前にどのようなプランで建物を建てるのかは重要なので、ラフプランはいただくようにしており、用途変更に必要な防火、避難、消防設備や注意事項等は引き継ぎ時にお伝えするようにしています。

このように検査済証がない建物の確認申請を伴う用途変更を行う場合はいくつもの段階を踏まえながら既存不適格建築物であることの証明を行っていかなければならないのです。今回の建物は最初のご依頼時から法適合状況調査が終わり証明書が発行されるまで2ヶ月程度の時間がかかりました。

調査が終わった後、無事に保育所を開設することができたとの喜びの報告がありました。

検査済証がなく図面もない物件であっても、正しいステップを踏めば許認可の取得をすることができます。法適合調査を経ることは物件の評価やコンプライアンスの観点において大きな価値を持ちます。

検査済証がない建物の用途変更、確認申請をご希望の方はぜひ最適建築コンサルティングにご依頼ください。

>>検査済証がなくてお困りのかた

共同住宅の低層階を用途変更したい。

このプロジェクトは、東京都練馬区に建つ共同住宅の1階店舗を用途変更が可能なようにしたいとオーナーからの要望からスタートしました。

用途変更をするためには検査済証が基本的には必要となりますが、こちらの物件は検査済証が発行されていませんでした。

現状ではテナントの床面積が200m2を超えているため、新たに入居を検討するテナント業者が検査済証の有無を照会して、検査済証がないため断れるということが何度か続いたための依頼でした。それとは別に、将来的に物件を売却する場合でも法適合しているかどうかが資産価値を考える上でも大事な指標となってくるため、法適合しているかどうかを確認し、是正するべきことがあるなら解決しておきたいとの事でした。

昨今では用途変更の確認申請が必要ない規模であっても、大手のテナント業者の場合は検査済証が無いことにより出店を取り止めるケースが出てきているので、検査済証の有無はテナント側の出店を考える上でも大事な指標となってきています。

<事業データシート>  構造:鉄骨鉄筋コンクリート構造規模:地上8階建地下1階 敷地面積:約500㎡ 建築面積:約400㎡ 延床面積:2100㎡ 既存用途:共同住宅 確認済証:取得済 検査済証:未取得 目的:用途変更のため、資産価値向上のため

鉄骨鉄筋コンクリート構造の検査済証がない建物を活用するための「法適合状況調査」はどのように進めるのか?

鉄骨鉄筋コンクリート構造は鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた構造となります。構造の現況調査をする上では鉄骨鉄筋コンクリート構造は非常に難易度が高くなります。

構造の現況調査をする上では鉄筋コンクリート構造の中に鉄骨造が埋設されているため調査が難しく費用が多大にかかってしまうのが現状です。

しかし、今回の建物は施工監理記録が残っていました。具体的には、コンクリート強度試験、鉄筋圧接部分の引張試験、鉄骨継手の溶接検査記録、鋼材のミルシート等、構造に関わる現場監理資料です。

このような資料が残っている場合は、調査費用を大きくコストダウンを図ることができる可能性があるので非常に大切な資料となります。もし、新たに物件を購入を考える方がいる場合はこのような資料が残っているかどうかも重要な指標の一つになるのではないかと思います。

各種試験がわからいない人のために、簡単ですが試験について説明します。コンクリート強度試験はコンクリートの強度が構造図面と同等以上であるかどうかを調べる圧縮試験です。鉄筋圧接の引張強度試験は鉄筋圧接部分の鉄筋を抜き取り調査し引張強度試験を行います。いずれも第三者検査機関が検査を担当します。

鋼材のミルシートとは、鋼材メーカーが発行する鋼材の品質を証明する書類のことです。こちらが発行されていることにより鋼材品質が保証されることになります。現在でも新築工事において、現場監理をする上で広く利用されています。指定確認検査機関や公共工事の検査においてもミルシートの提出が求められます。

鉄骨溶接検査
ミルシート

検査済証がない建物を活用するためのガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する

用途変更を行うために、まずは敷地条件を確認しましょう

建物が該当するエリアの敷地条件の確認です。 特に重要なのが、既存建物の用途地域が用途変更を行える地域か確認することです。この物件の該当するエリアの用途地域、防火地域は以下の通りでした。

今回の場合は、敷地が商業地域と近隣商業地域とまたがっています。敷地がまたがっている場合は容積率、建蔽率に関しては按分、高さ関係はそれぞれの地域ごとに必要な高さ制限の検討となります。肝心な建物用途の制限に関しては過半な用途地域がその敷地の用途地域となります。今回は商業地域の方が敷地に関する割合が大きいため、商業地域の建物用途の制限を利用することなります。

今回のように、商業地域と近隣商業地域のように商業系がまたがっている場合は建物用途上の支障はありません。例えば住居地域と商業地域がまたがっている場合、どちらの用途に属するかということは、重要になってきます。例えば住居系に属しているため事務所貸しができないというようなことが生じてきます。

用途地域:商業地域、近隣商業地域

防火地域:防火地域

用途変更を行う際にチェックすべきその他の敷地条件に関する補足

上記の他にも立地条件によっては接道する道路の幅員や高度地区、日影規制などに該当する場合があります。用途地域、防火地域などは役所のホームページでも確認が可能です。(一部地域では確認できない場合もあります。その場合は直接役所に問い合わせて確認することができます。)今回の敷地では、建物が建てられた当時と用途地域、容積率、建ぺい率、高さ制限などが変わっていませんでしたが、変わっている場合もあるので注意が必要です。今回は横須賀市役所行とガイドラインを用いた用途変更に関する協議を行った結果、指定確認検査機関が求める要件を満たす調査を行うように指導を受けました。それでは、実際にどのような調査を進めて行ったのか解説していきたいと思います。

検査済証がない建物をガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する際に求められた調査内容

検査済証がない既存建物を活用する為のガイドラインを用いた既存不適格建築物の証明の為に指定確認検査機関から要求された調査項目は以下の通りでした。

・図面が当時の建築基準法を満たしていること。

・図面通りに施工が行われていること

・構造躯体の強度に問題がないこと。(構造施工資料がある場合は検査資料の確認)

検査済証がない建物の現況調査を行います。

1)現場調査

敷地条件が確認できたら、現場調査では主に実測を行いながら、違反箇所の確認を行なっていきます。
確認申請時と違っていた主な箇所は以下の通りでした。

(1)コンクリートブロックの高さ違反
(2)地下1階部分の駐車場のレイアウト変更
(3)1階テナント用の倉庫の敷地内設置(増築)
(4)2階共同住宅が1戸→3戸への変更

確認申請との相違部分に対して以下の通りの対応をしました。の見解は以下の通りでした。今回の建物は是正が必要な部分があったので、増築部分の違反に該当する部分は解体工事が伴うこととなりました。

(1)コンクリートブロックの高さを1200mm以下にするため上部の3段解体
(2)レイアウト変更の図面復元と基準法確認
(3)1階倉庫部分に関しても避難通路を妨害しているため解体
(4)各共同住宅部分の基準法確認、目視で界壁、共住区画の確認。一部区画貫通部分に不適合箇所があったため是正工事の実施

是正前 倉庫増築部分 

是正後 倉庫増築部分

2)机上調査・図面の復元。

実測した内容をもとに変更部分の図面を復元していきます。

変更した部分を基準法的に問題ないか検討していきます。

3)構造調査

法的な違反確認したあとは、建物の構造に問題がないかを確認していきます。今回の建物は鉄骨鉄筋コンクリート構造となります。鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合は調査が大変困難になります。というのは、コンクリートの中に鉄骨造が埋まっているため寸法確認が非常に難しいためです。また溶接部分の確認も難しくなってくるため、弊社に相談してくる案件でも鉄骨鉄筋コンクリート構造の場合はお断りさせていただくことも多いです。

しかし、前段で説明させていただいた通り、今回の場合は施工時の資料である、コンクリート圧縮強度試験結果、鋼材証明書や鉄骨検査報告書等の検査資料が残っていることが判明しました。そちらの内容が全て合格しそろっていること、中間検査や消防完了検査に合格していること、昇降機の検査済証を取得していること、総合的に判断して、検査機関の判断しても現状建物は適合しているという判断になりました。

こちらの法適合調査の結果により新たに確認申請を伴う用途変更を行うことが可能になりました。

検査済証がない建物の現況調査が完了すれば、用途変更に向けて計画を進めていくことが可能になります。

今回のプロジェクトでは、用途変更に伴うテナントの設計監理業務は請け負わなかったため、法適合状況調査の終了で業務は終了となります。

ただし、新たなテナント設計業者さんが入居する場合は法不適合にならないように、用途変更に必要な防火、避難、消防設備や注意事項等は引き継ぎ時にお伝えするようにしています。

最適建築コンサルティングでは必要に応じて新規テナントさんの法規チェックも行っています。

このように検査済証がない建物の確認申請を伴う用途変更を行う場合はいくつもの段階を踏まえながら既存不適格建築物であることの証明を行っていかなければならないのです。今回の建物は最初のご依頼時から法適合状況調査が終わり証明書が発行されるまで、是正工事も含めて3ヶ月時間がかかりました。

検査済証がない建物の用途変更、確認申請をご希望の方はぜひ最適建築コンサルティングにご依頼ください。

>>検査済証がなくてお困りのかた

検査済証がない建物は、どのようにしてエレベーターを増築する確認申請ができるのか?

このプロジェクトは、茨城県の検査済証がない工場用途にエレベーターを新設したいとの要望がクライアントからありました。こちらのコラムでもご紹介させていただいておりますが検査済証がない場合は、ガイドラインを利用した法適合調査を行い適法であることで、新たに確認申請を行い確認済証を取得することができます。
エレベーターを新設する場合は、内部に設けるのか、外部に設けるのかの違いは単に使い勝手や計画上の問題と考える方が多いですが、建築基準法では外部に新設する場合は増築に該当し、内部に設ける場合はエレベーターの確認申請のみとなるため、既存訴求の関係等から諸条件によっては、内部に設けた方が良い場合と、外部に設けた方が良い場合があります。どちらにもメリット、デメリットがありますので、そういった部分も比較して、私たちはクライアントに提案しています。
またエレベーターを新たに設ける場合は、外部に設ける場合はエキスパンションジョイントを設ける場合が多く、内部に設ける場合は、内部に新たに柱を設けることが多く、基本的に本体とは別構造として計画することが多いです。今回の場合は、既存用途が工場のため用途変更が生じない計画であることと、建物の法律上の諸条件を考えるとエレベーターを内部に設けた方が良いと判断し計画を進めていきました。

<事業データシート> 構造:鉄骨造 規模:地上2階建 敷地面積:1300㎡ 建築面積:880㎡ 延床面積:1500㎡ 既存用途:工場 確認済証:取得済 検査済証:未取得 目的:工場にあらたにエレベーター増設

既存建物にエレベーターを増築する場合、まずは検査済証があるかどうかを確認します。

法適合調査までの流れとして、まずは物件購入前にクライアントから事前調査の依頼がありました。事前調査では隠蔽部分(目視で調査できない箇所)をのぞいて、他に違反がないか調査しました。調査の結果、違反している部分が見つかりましたが、今回工事で是正できる範囲内の内容でした。事前調査をすることにより、違反部分を事前に把握することにより前オーナー(売り手)に対しても販売価格の見直しを考慮いただくこともできますし、前オーナーとしてもトラブルなく新しいオーナーに引き継ぐことができます。今回の場合は物件を購入したいオーナーからの依頼ですが、物件を販売したいオーナーからも調査の依頼がよくあります。

今回の建物の場合は構造計算書はありませんが、他の図面(建築、構造、設備)が全てそろっており、台帳記載証明書、計画概要書の内容と建物の高さや面積に一部違反がありましたがエレベーターの新設時に十分対応できる内容でした。

クライアントは建物購入することを検討時に建物に検査済証がないことが発覚しました。今回のようにエレベーターをあらたに新設する場合は、エレベーターの確認申請が必要になります。
検査済証がない場合は増築、用途変更など確認申請をともなう工事が基本的にはできませんが、法適合調査を行い適法とみなされた場合、確認申請に進むことができあらたに確認済証を取得できることができます。私たち最適建築コンサルティングでは数多くの事例を経験しておりますのでまずはご相談ください。

検査済証がない建物を活用するためのガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する

エレベーターの新設を行うために、まずは敷地条件を確認しましょう

まず私たちが行ったのは建物が該当するエリアの敷地条件の確認をしてですが、今回の場合は用途は従前と同じ、工場用途ですので基本的には問題ありません。 既存建物の用途地域やが用途変更を行える地域か確認することです。この物件の該当するエリアの用途地域、防火指定は以下の通りでした。

用途地域:準工業地域

防火地域:法22条地域

エレベーターの新設を行う際にチェックすべきその他の敷地条件に関する補足

上記の他にも立地条件によっては接道する道路の幅員や高度地区、日影規制などに該当する場合があります。用途地域、防火地域などは役所のホームページでも確認が可能です。(一部地域では確認できない場合もあります。その場合は直接役所に問い合わせて確認することができます。)今回の敷地では、建物が建てられた当時と用途地域、容積率、建ぺい率、高さ制限などが変わっていませんでしたが、変わっている場合もあるので注意が必要です。
指定確認検査機関が求める要件を満たす調査を行うように指導を受けました。それでは、実際にどのような調査を進めて行ったのか解説していきたいと思います。

エレベーターは内部に設けるべきか外部に設けるべきかの検討

エレベーターを新設に設けることを考える場合は外部に設けるのが簡単です。新設のエレベーターと既存建物をエキスパンションジョイントで構造別とすることができるためです。ただし利用者の方の使い勝手や増築にした場合の建物全体としての法的な考え方を考慮すると必ずしも外部に設けることが正解とは限りません。
今回の場合は敷地の利用の問題や利用者動線の観点から内部に設けることに決定しました。
内部にエレベーターを設ける場合は既存の構造である梁やブレースを撤去することになるため、構造設計者と構造的検討を行いながら適切な位置に設けることが必要になってきます。
またこの時点でエレベーターの寸法や重量を検討する必要があるため、エレベーター会社とも協業して詳細を詰めていくことが重要になってきます。
今回は梁の移動と補強を行うことによって、既存建物の内部にエレベーターを設ける計画としました。

検査済証がない建物をガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する際に求められた調査内容

検査済証がない既存建物を活用する為のガイドラインを用いた既存不適格建築物の証明の為に指定確認検査機関から要求された調査項目は以下の通りでした。

・図面が当時の建築基準法を満たしていること。

・足りない図面を復元すること。

・図面通りに施工が行われていること。

・構造躯体の強度に問題がないこと。

検査済証がない建物の現況調査を行います。

1)現場調査

敷地条件が確認できたら、現場調査では主に実測を行いながら、違反箇所の確認を行なっていきます。違反箇所としてよくあるのが、違法増築や建物が防火地域、準防火地域に該当しているのにもかかわらず防火要件を満たしていないこと火災時の避難経路が確保されていない、あとから屋根や倉庫を増築してしまうことなどがあります。また、建てた当時は合法であった部分を、所有者が改修やリフォーム等を行うことによって違法になってしまう場合もあります。今回の場合も網入りにしなければいけない部分の窓を、網なしに改修してしまっている場所が一部ありました。
今回のように大きな工場のような場合には安全の観点からも特に建物のことを理解している担当者が必要であると同時に、建物の取扱説明書のようなものが必要だと強く感じます。建物の変更して良い場所と安全上ダメな場所の判断ができるようになりますので、ビルや工場など特殊建築物を建てる場合は後々のメンテナンスやリフォームを考慮して、施工会社や設計事務所に建物引継書や中長期の保全計画書の作成依頼をすることが重要だと思います。

2)机上調査・図面の復元

今回の建物は竣工図がありましたが、一部破損して見えにくい部分があったので、実測した内容をもとに部分的に図面を復元していきます。ここで確認すべきことは確認申請時から面積が増えていないか、建物の高さは守られているかなどの集団規定の違反です。違反があった場合は建物の一部解体などの工事を伴う場合もありますので、注意が必要です。

3)構造調査

法的な状況を確認したあとは、建物の構造に問題がないかを確認していきます。必要に応じて天井や壁を一部壊して目視にて確認します。今回の建物は鉄骨ラーメン構造の2階建です。鉄骨造の場合はUT検査という超音波による鉄骨柱と梁の溶接部分の確認を抜き取りで必要になります。UT検査では鉄骨造の古い建物の場合はNGになる場合も多く、梁の補強や溶接部分のやり直し等の必要が出てくることがあります。
他にも基礎梁部分の寸法を測り、超音波による配筋調査とコア抜きによる強度圧縮試験、中性化試験などを行いました。
鉄筋の調査に関してはピッチに関しては超音波で判別するのですが、細かい径に関しては判別するのが非常に難しいため一部はつって鉄筋径を確認しております。
構造調査に関しては構造設計事務所と協業して行なっているため、毎回、調査範囲や箇所等に関しては確認申請機関担当者、構造設計者、調査員と打合せを行なって決めています。
この構造調査は構造図がないと難易度が上がり調査箇所も多岐にわたるため非常に大変になってきます。また私どもの事務所では構造図がない場合は構造計算書も復元をしているため費用としても高くなってきます。構造図を所持しているかどうかで調査の方針が変わってくるため、建物を購入時はその部分も注意することが大事になってきます。

ガイドラインを利用して検査済証のない建物の法適合状況調査報告書を取得する

ここまでの内容を調査結果としてまとめて、第三者検査機関である指定確認検査機関に法適合状況調査を申請することによって、検査機関の検査員がこちらの提出した資料をもとに現場検査にきます。そして問題がないようであれば建築基準法関係規定に適合していることが証明されます。もう少しわかりやすく説明すると、もう一度完了検査を受けるようなイメージです。今回のプロジェクトでは違反部分や不適合部分はありましたが、事前調査で想定していた範囲内のためそのままエレベーターの確認申請に進むことができました。

検査済証がない建物の現況調査が完了すれば、エレベーターの増築の確認申請に向けて計画を進めていくことが可能になります。

今回のプロジェクトでは、法適合調査を経てエレベーターの新設に進むことができました。私たちに相談が多い事例の一つにエレベーターの新設があります。検査済証がなくてエレベーターを新設できなくて諦めていた方は、一度ご相談していただければと思います。

このように検査済証がない建物を再生するのは、新築の設計と同様に手間と時間がかかる作業が多いですが建物が再生されることによって新たにエレベーターの申請等の確認申請に進むことができます。また、新たに確認申請を行なうことで新たに確認済証を取得することにもつながります。これは物件の評価やコンプライアンスの観点において大きな価値を持ちます。
検査済証がない建物の用途変更、確認申請をご希望の方はぜひ最適建築コンサルティングにご依頼ください。

>>検査済証がなくてお困りのかた

また、増築の確認申請に関連する事項を網羅したいという方はこちらの記事もご参照ください。

>>増築の確認申請【フローチャート付き】:増築の確認申請を徹底解説【完全版】

検査済証がない建物は、どのようにしてサービス付き高齢者住宅(サ高住)(老人福祉施設)へ用途変更すればいいのか?

このプロジェクトは、神奈川県横須賀市に建つ共同住宅を用途変更し、サービス付き高齢者住宅として開設するという計画です。ご相談頂いた内容は、「計画の過程で、サ高住として用途変更を行う際に許認可されるためには建物が建築基準法関係規定に適合している必要があるが、物件に検査済証が取得されていなかったことがわかった。」ということでした。また、当時の時点では100㎡を超えており、用途変更の確認申請が必要な規模でもありました。

<事業データシート> 構造:木造木質パネル構法 規模:地上2階建 敷地面積:196.73㎡ 建築面積:71.55㎡ 延床面積:129.18㎡ 既存用途:共同住宅 確認済証:取得済 検査済証:未取得 目的:サ高住への用途変更、許認可の申請

既存建物を用途変更する場合、まずは検査済証があるかどうかを確認します。

繰り返しになりますが、このプロジェクトでは検査済証がないことが発覚しました。今回のように許認可が必要な用途変更やまた、確認申請を伴う工事を行う際には検査済証の有無が大きなポイントになります。具体的に既存建物が確認済証、検査済証を取得しているかどうか調べる場合、まず物件が該当するエリアの行政機関、今回の場合は横須賀市役所で「建築計画概要書」、「台帳記載事項証明書」を取得することで物件の手続きの状況を知ることができます。建築計画概要書とは、敷地面積・建物の大きさ・高さ・配置図などが記載された書類で、台帳記載事項証明書とは紛失した確認済証や検査済証の代わりに発行してくれる証明書で、確認済証と検査済証交付の記録が記載されている書類です。古い建物では建築計画概要書を行政が破棄している場合があり、台帳記載事項証明書しかない場合がありますが、検査済証の取得の有無は台帳記載事項証明書だけでもわかります。このプロジェクトでは台帳記載事項証明書で確認済証はとれているが、検査済証がとれていないということを確認しました。

このように検査済証がない既存建物の用途変更を行う場合、既存建物が当時の建築基準法に適合していたかどうかという「法適合状況調査」を行って既存建物が既存不適格建築物であることを証明する必要があります。横須賀市に問い合わせたところ、この物件でも、用途変更に向けて既存建物が既存不適格建築物であることの証明を行なっていく方針となりました。

検査済証がない建物を活用するための「法適合状況調査」はどのように進めるのか?

用途変更の確認申請を行う場合や今回のように許認可の申請で建物の建築基準法関係規定への適合状況の証明を求められた場合、検査済証の有無が非常に重要なポイントとなります。原則的に検査済証がない建物については、確認申請を行うことができませんが、国土交通省が2014年に設けた「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」に基づいて、調査、報告を行うことで確認申請を行うことが可能な場合があります


>>検査済証がない場合のガイドライン、法適合状況調査

それでは、具体的にどのような調査、報告を進めていくのかを紹介します。

検査済証がない建物を活用するためのガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する

用途変更を行うために、まずは敷地条件を確認しましょう

まず私たちが行ったのは建物が該当するエリアの敷地条件の確認です。 特に重要なのが、既存建物の用途地域が用途変更を行える地域か確認することです。この物件の該当するエリアの用途地域、防火地域は以下の通りでした。

用途地域:第1種住居専用地域

防火地域:法22条地域

用途変更を行う際にチェックすべきその他の敷地条件に関する補足

上記の他にも立地条件によっては接道する道路の幅員や高度地区、日影規制などに該当する場合があります。用途地域、防火地域などは役所のホームページでも確認が可能です。(一部地域では確認できない場合もあります。その場合は直接役所に問い合わせて確認することができます。)今回の敷地では、建物が建てられた当時と用途地域、容積率、建ぺい率、高さ制限などが変わっていませんでしたが、変わっている場合もあるので注意が必要です。今回は横須賀市役所行とガイドラインを用いた用途変更に関する協議を行った結果、指定確認検査機関が求める要件を満たす調査を行うように指導を受けました。それでは、実際にどのような調査を進めて行ったのか解説していきたいと思います。  

検査済証がない建物をガイドラインを用いて既存不適格建築物であることを証明する際に求められた調査内容

  検査済証がない既存建物を活用する為のガイドラインを用いた既存不適格建築物の証明の為に指定確認検査機関から要求された調査項目は以下の通りでした

・図面が当時の建築基準法を満たしていること。

・図面通りに施工が行われていること

・構造躯体の強度に問題がないこと。

検査済証がない建物の現況調査を行います。

 

1)現場調査

 

敷地条件が確認できたら、現場調査では主に実測を行いながら、違反箇所の確認を行なっていきます。違反箇所としてよくあるのが、違法増築や建物が防火地域、準防火地域に該当しているのにもかかわらず防火要件を満たしていないこと、火災時の避難経路が確保されていないなどです。違反箇所が見つかった場合には是正を行う必要が出てきます。しかし、今回の建物では致命的な違反箇所は見受けられませんでしたが外構部分の一部のコンクリートブロックが土圧をうけていました。

 

2)机上調査・図面の復元。

 

実測した内容をもとに図面を復元していきます。ここで確認すべきことは確認申請時から面積が増えていないか、建物の高さは守られているかなどの集団規定の違反です。今回の建物は確認申請時からの変更はありませんでしたが、もし違反があった場合は建物の一部解体などの工事を伴う場合もありますので、注意が必要です。

 

3)構造調査

 

法的な違反がないことを確認したあとは、建物の構造に問題がないかを確認していきます。必要に応じて天井や壁を一部壊して目視にて確認します。今回の建物はハウスメーカーによって建てられた木質パネル造の2階建ての共同住宅です。そのため、各住戸の界壁の施工を防火上問題がないかを確認しました。構造調査は木造部分、コンクリート基礎部分に分けて構造調査を行なっていきました。木造部分の建物構造については、型式認定を取った建物でしたので、当時の施工方法や状況を建てたハウスメーカーに確認したところ建物が該当ハウスメーカーで登録されており工場生産で建てられたことがわかりました。また、当時の施工方法について確認をとり現場にて抜き取りで施工状況を確認しました。コンクリート基礎部分は、超音波による配筋調査とコア抜きによる強度圧縮試験、中性化試験などを行いました。また、敷地内にある擁壁(工作物)の構造についても調査を行いました。地域によって変わりますが、敷地境界内高さ2mを超える擁壁や崖がある場合は崖条例に関わる場合があるので注意が必要です。

EPSON MFP image

ガイドラインを利用して検査済証のない建物の法適合状況調査報告書を取得する

ここまでの内容を調査結果としてまとめて、第三者検査機関である指定確認検査機関に法適合状況調査を申請することによって、検査機関の検査員がこちらの提出した資料をもとに現場検査にきます。そして問題がないようであれば建築基準法関係規定に適合していることが証明されます。もう少しわかりやすく説明すると、もう一度完了検査を受けるようなイメージです。今回のプロジェクトではこれまでの調査などをおこなってきたおかげで、重大な指摘事項がなく、報告書で法適合と判定されました。これにより新たに確認申請を伴う用途変更を行うことが可能になりました。  

 

検査済証がない建物の現況調査が完了すれば、用途変更に向けて計画を進めていくことが可能になります。

今回のプロジェクトでは、用途変更に伴うサ高住の設計監理業務は請け負わなかったため、法適合状況調査の終了で設計会社さんにバトンタッチです。ただし、設計を行わないとしても事前にどのようなプランで建物を建てるのかは重要なので、ラフプランはいただくようにしており、用途変更に必要な防火、避難、消防設備や注意事項等は引き継ぎ時にお伝えするようにしています。

このように検査済証がない建物の確認申請を伴う用途変更を行う場合はいくつもの段階を踏まえながら既存不適格建築物であることの証明を行っていかなければならないのです。今回の建物は最初のご依頼時から法適合状況調査が終わり証明書が発行されるまで4ヶ月時間がかかりました。

検査済証がなく図面もない物件であった、横須賀市のサ高住のプロジェクトも無事に既存不適格建築物の証明を行い用途変更、許認可申請を行うことができました。

また、新たに確認申請を行なうことで新たに確認済証を取得することにもつながります。これは物件の評価やコンプライアンスの観点において大きな価値を持ちます。

検査済証がない建物の用途変更、確認申請をご希望の方はぜひ最適建築コンサルティングにご依頼ください。

>>検査済証がなくてお困りのかた