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2019.05.23
検査済証がない建物の増築、用途変更の相談について
2019年も5月に入り平成から令和になりました、最適建築コンサルティングが開設して半年以上が経ちました。
その期間で検査済証がない、用途変更に関する相談は50件以上ありました。
新元号、半年ということで私たちの最適建築コンサルティングを通しておこなっていきたいことや、今までどのような相談が多かったかを振り返っていきたいと思います。
目次
最適建築コンサルティングの目的は検査済証がない建物の再生
私たちは確認済証は発行されているが完了検査を受けていない建物の再生をサービスとしています。国の調査では平成10年の建物で完了検査を受けていない建物は約60%もあることがわかっています。つまりそのような物件は町中にあふれていて、何も特殊な事例ではないのです。そしてそれらの検査済証がない建物で新たに増築、用途変更をしようとしても基本的にできません。(確認申請の手続きが必要な規模の場合)
>>確認申請を理解しよう1<申請が必要な規模>
増築の確認申請に関連するはこちらの記事。
>>増築の確認申請【フローチャート付き】:増築の確認申請を徹底解説【完全版】
当時、なぜ完了検査を受けていなかったのかその当時の施工会社や設計事務所、ハウスメーカーにヒヤリングすると、完了検査を受ける慣習がなかったからという答えが一番多いです。完了検査を義務があることは知っていたが、検査を受けることへの拒否反応の方が強かったようです。信じられないかもしれませんが、大手ハウスメーカーや大手ゼネコンも例外ではなく、当時は完了検査を受けていない建物が多いです。
では、そのような建物は本当に全てダメなのでしょうか?本当に増築や用途変更ができないのでしょうか?実は国が定めたガイドラインというものがあって、検査済証がない建物でもそのガイドラインに沿うことで増築や用途変更をすることができます。
私たちに相談されるかたの中には、相談することでかえって悪い状況になるのではないかと心配される方も多いですが、私たちの目的は、建物を糾弾することではなく再生していくことです。どちらかというと警察ではなく建物のお医者さんのような役割だと思っております。
検査済証がない建物はどの程度、違反している建物が多いのか教えます。
一般の建築関係者ではない方は検査済証がないことに非常にショックを受ける方が多いです。ただ完了検査を受けていない建物には二つの特徴がありますので、それぞれ紹介していきます。
建物としてはほとんど問題なく慣習として完了検査を受けていないだけの建物
こちらの建物の特徴は比較的古い建物、2000年以前の建物に見られます。建物としては問題ないが慣習として本当に完了検査を受けていない建物。
軽微な変更をしたため変更届けを出すのが面倒だったので完了検査を受けていない状態など比較的悪意のない建物です。
建築時に意図的に違反をしている建物
こちらの建物の特徴は最初から違反をしようとして違反している建物です、このような建物は大幅な是正工事が必要になってきます。
その中でも一番多い違反項目は防火の違反が多いです。その理由はコストダウンの問題が一番大きいように思います。
建物が実際に申請した建物より面積が大きかったり、最高の高さが高いと明らかに周りの建物の状況と浮いてしまうので、一見ではわからない、防火の部分を違反していることが多いです。例えば建物の柱や梁を火災の時に燃えないような対策(耐火被覆)が必要な規模や地域なのに施していなかったり、窓が防火戸を要求される規模や地域なのに網入りガラスになっていなかったりなどが一番多いです。
建築後に意図的に違反をしている建物
こちらの建物の特徴は増築の場合と用途変更の違反が多いです。
増築の違反は戸建て住宅の場合が多く確認申請が必要にも関わらず申請をしない状況が多いです。
用途変更の場合は商業ビル、集合住宅が多く、例えば1階が駐車場だったのに用途変更をして事務所、店舗等にしてしまい容積率の違反をしている。当初の用途の事務所(オフィス)から店舗に変更してしまった等が多いです。
これらの違反は是正できるのか
慣習として検査済証を受けていない場合や軽微な違反に関しては比較的簡単に是正ができます。
建築時に意図的に違反をしている場合は、調査に時間がかかり是正内容も多岐にわたりますが、まずは調査を行い、どの程度の違反部分があるかを把握することが重要です。
建築後に意図的に違反をしている場合は、減築や用途の変更を元に戻さなければいけないことが多いです。これは増築をしようとしている建物が検査済証を取得していないなど、建築確認申請を出せていない何らかの理由があったから違法増築したである状況が多いからです。
違反の中でもどうにもできないことが多いのが集団規定の違反です。明らかな面積の違反は減築が必要になりますし、高さが確認申請時よりも高い場合に関しても基本的には建物の高さを低くするというような処置が必要になりますので、再生の難易度が上がります。
私たちはガイドラインを利用した確認申請を考えている方に対して法適合調査をする前に、私たちは事前調査をおすすめしております。事前調査をすることで実際の建物が法的にどの程度の違反をしているのかを把握することができます。
どのような方が相談してくるのか?多種多様です!!
相談される方の属性ですが大きくわけて、3つの属性に分かれます。1事業主、2不動産会社、建物オーナー、3同業者(設計事務所、建設会社)、また相談内容は各属性によって大きく違ってきますが、事業主の方は認可系の事業(児童福祉施設、宿泊施設)が多く認可を受けるにあたって検査済証がないことがネックになっている方が多いです。また不動産会社、建物オーナーは売買、仲介において検査済証がないことで用途変更、増築ができなくて、購入者、賃貸借契約者が望む使い方ができない方が多いです。同業者の方は同じく建物の増築、用途変更をしたいのだけど検査済証がないので、私たちに法適合調査の申請を依頼されることが多いです。確認申請は同業者の方が申請することもできるので、その前段の部分を受け持つことが多いです。
依頼内容も1、法適合調査前の事前調査までの方、2、実際に法適合調査までを依頼される方、3、設計までを依頼される方、4、設計、ブランディングを依頼される方など様々な方がいらっしゃいます。
相談される属性の方でも物件が検査済証を取得していなかったことが問題になることを後から気づく方もたくさんいらっしゃいました。慎重な方は物件を購入する前に相談されて、法適合調査の費用を売主さんに受け持って貰えるように値引きを交渉したりとさまざまです。
どのような相談内容がおおいか?検査済証がない建物の相談が一番多いです!!
問い合わせされる方は検査済証を所持している用途変更の確認申請の依頼も多いですが、一番多い内容が検査済証がない建物の法適合調査の相談です。
その中でも一番多い質問が法適合調査の費用がどれくらいかかるかです。
費用に関しては図面を所持しているかどうかによる難易度と構造の種別によって変わってきます。
構造種別は木造>鉄骨造>RC造の順番に費用が安くなります。難易度に関しては下記の記事をご参照ください。
法適合調査で確認申請をするまでの費用はどれくらいかかるのか?
法適合調査の費用ですが確認検査機関への申請費用、構造調査(例えばコンクリート強度試験、鉄筋探査)等も含めてトータルで150万〜800万くらいの金額の値幅がありました。物件の状況や規模によって状態は代わってきますが、住宅のような比較的小さい規模の建物だと確認申請図面や構造計算書が残っている場合が少なく復元作業が必要になり復元に費用がかかり、ビルなど比較的大きい規模だと図面が残っていることが多いため、構造調査や法適合状況の調査費用に金額がかかります。もう少しデータが揃ったら、金額の比較を建物の書類所持状況、構造、用途別で比較していきたいと思っております。
最後に
今年は6月末に用途変更の確認申請が必要な規模が100m2→200m2に変更になりました。
Facebookページでは、いち早く法改正について情報をお知らせしました、また法改正の内容解説についても順次facebookにて共有していきたいと思っております。
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最適建築コンサルティングに関する詳細を知りたい方は資料もあわせてご参照ください。
検査済証のない建物の用途変更・増築や建築法規に関する内容でお困りの方はお気軽にご相談ください。