コラム
COLUMN

2018.09.10

確認申請を理解しよう1<申請が必要な規模>

確認申請について

確認申請とは

建物を建築する行為をする場合、建築物を大規模の修繕、模様替えをする場合、工事の着工前に確認申請書を、行政庁または確認申請機関に提出して、建築確認済証という許可を得なければいけません。
新築をする場合、確認申請を提出しなければいけないという事は、一般の人たちの中でも理解している方々も多い思います。

ただ、増改築など、新築ではない場合、確認申請が必要かどうか理解されていない方が多いと思います。
したがって、具体的な確認申請が必要な条件をみていきたいと思います。

確認申請が必要な規模

確認申請が必要な規模については、建築基準法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)に規定されています。

建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。<中略>当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。

一 別表第1(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200m2を超えるもの

二 木造の建築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500m2、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの

三 木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200m2を超えるもの

四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成16年法律第百十号)第74条第1項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

2 前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10m2以内であるときについては、適用しない。

こちらの内容を要約すると

一号〜三号までに該当する建築物を建築する場合、大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合、四号で建築する場合は確認申請が必要になります。それでは具体的にそれぞれの、建物について説明していきます。

一号について

特殊建築物で200m2を超える場合、確認申請が必要です。

特殊建築物とは不特定多数の人たちが利用する建築物を指します。建築基準法では、防災の観点から特殊建築物に対して、様々な規定を設けています。

該当する用途は建築基準法の別表第一で規定されています。

特殊建築物に該当する用途(法の別表第一より)

1.劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場

2.病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎など

3.学校、体育館、博物館、図書館、ボーリング場、スケート場など

4.百貨店、マーケット、展示場、ダンスホール、キャバレー、料理店、飲食店、遊技場、公衆浴場など

5.倉庫

6.自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ
事務所や戸建て住宅は不特定多数の人が利用しないため、特殊建築物には該当しません。共同住宅は該当するので注意が必要です。

二号について

木造建築物で3以上の階数、又は延べ面積が500m2、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるものは確認申請が必要です。

三号について

木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200m2を超えるものは確認申請が必要です。

ここまでの条文を見ると、一〜三号に該当しない建物が多いことに気づくと思います。
都内の住宅でも木造2階で500m2を超えない住宅はたくさんあります。
それでは、それらの建物は確認申請が必要がないのでしょうか?
先を急がずに引き続き、次の第四号の条文をみてみましょう。

四号について

都市計画区域若しくは準都市計画区域、もしくは景観法、準景観地区とありますが、特に都市計画地域は、都市計画法第5条にて、『一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定するものとする』として定められています。
こちらに該当しない敷地は、ほぼないため、ほぼ全ての建築物が確認申請が必要になります。
例えば住居地域、商業地域など用途地域が定められている敷地は全て都市計画区域内です

ただし、一号から三号の条文には大規模の修繕若しくは大規模の模様替という条文が付け加えられています。
大雑把に考えると建築行為はほぼ確認申請が必要、大規模の修繕、模様替えは一号から三号によると考えても良いかもしれません。

2項について

10m2以内の増改築であれば、確認申請は必要ないという根拠の条文がこちらになります。しかし、実際は防火地域及び準防火地域内に指定されている場合は確認申請が必要になります。都市圏の住宅密集地域、商業地域は、防災の観点から、防火、準防火地域に指定されている事が多いので、注意が必要です。確認したい方は、各行政庁の都市計画課の窓口で確認していただくか、WEB上で情報を開示している行政庁も多いので、その場合はWEBで該当する敷地の住所を入力していただければ、自分の調べたい敷地がどのような防火地域に該当するか調べることができます。

建築基準法でいう建築とは建築基準法第2条第13号に規定されています。建築とは、建築物を新築、増築、改築、又は移転することをさします。つまり新築以外でも、規模によっては確認申請を提出する必要があります。

こちらで増築の確認申請に関連する事項を網羅していますので、是非ご参照ください。

>>増築の確認申請【フローチャート付き】:増築の確認申請を徹底解説【完全版】

確認申請を正しく理解するために

多くの方が確認申請は新築以外は関係ないと思っていますが、実際は増築等でも確認申請が必要な場合も多いので
注意が必要です。最近は大手のリフォーム会社でもコンプライアンスの問題から、しっかりと対応することが多くなってきていますが、未だに確認申請が必要なことを理解していないリフォーム会社もあります。知らないうちに手続き違反になっている場合がありますので注意が必要です。いつの時代も被害者になるのは何も知らないクライアントです、業界全体で対応していくことが必要だと痛切に感じています。

また、こちらで出てくる大規模の修繕若しくは大規模の模様替という言葉も出てきますが、こちらも非常に大事なキーワードです。リフォーム、リノベーションを行う場合、こちらに該当する場合がありますので、意味をしっかり理解する必要があります。

>>「確認申請を理解しよう2<大規模の修繕、大規模の模様替え>」

ちなみに、建築基準法上の「改築」は、もとの建築物を除却した後に、用途や規模、構造が著しく異ならない建物を建てることを指し、こちらも建築確認申請の対象となります。建築基準法の「移転」は建築物を同一敷地内に移築することを指します。敷地が異なる場所に移築することは「新築」か「増築」に該当することになります。

また、建築行為以外でも確認申請が必要な行為として建物の用途を変更する、用途変更手続きがありますので合わせて、そちらも注意が必要です。

>>「用途変更の確認申請を理解しよう1<規模と用途>」

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