
自分の所持している建物は確認済証もあるし完了検査済証もあるから、違反のはずがないと考えている方は多いと思います。しかし建物を使っていく過程で、確認申請が必要な増改築や用途変更をおこなっていて知らないうちに違反建築になってしまっていたということがあります。新しく建物を建てる時には、確認申請が必要になってくることは割と知られていますが、増改築にも必要なことは知られていません。既存不適格とは別の概念ですので、しっかりと理解しておきましょう。
例えば次項のような改築をおこなっている場合は、違反建築に該当する場合があります。
「用途変更をしたいが、何から始めていいかわからない」という方のために、これまで最適建築コンサルティングが書いてきた用途変更に関する記事の内容を要約して解説しているまとめ記事がありますので、この機会に振り返っていただけると内容がより理解しやすいかと思います。
新築時に駐車場の用途にすることによって、敷地内の建築物の各階の床面積の合計(延べ面積)の1/5を限度として延べ面積に算入せず緩和することができます。
しかし建物の新築後、駐車場よりも別用途の方が賃料を多くとれるとの考えから
例えば駐車場を事務所にコンバージョン(用途変更)することによって、容積率の制限を超えてしまっている相談をよく受けます。
このような事例は新築当初から年月が経て、次の持ち主に建物が売買されるときに気づくことが多いです。
売買契約が交わされる前でしたら、まだ間に合いますが、実際に建物が引き渡されて発覚した場合は
売主、買主、仲介者共に揉める原因にもなりますので、事前の調査が非常に大切になってきます。
建築基準法上では建物の所有者に法的責任が発生します。そして違反建築物であることが発覚した場合は、行政庁からの是正命令が所有者に行われます。また、新たに売買によって所有者が変わった場合は、新たな所有者が違反を是正しなければなりません。
悪質なケースの場合は、建物の取り壊しを命令される場合があります。また違反建築物であることによる原因で事故が起きた場合は、刑事事件になって訴えられてしまう場合もあります。 また建築基準法での罰則では、最大で懲役3年以下または罰金300万円以下 法人の場合は罰金1億円以下となっています。
最近は建物の有効活用の事例が増えてきているため、少し前までは新築が当たり前だった許認可が必要な建物も既存建物に入居することが増えてきました。許認可の申請時に既存建物が違反状態であるということに気づくこともあります。
テナント業者の方も建築知識が豊富な企業や内装業者ばかりではありません。
また現在こそ減ってはきていますが、用途変更が必要な物件でも用途変更申請を無視してテナントに貸してしまったり
するオーナーもいます。知らなかったとではすまされない時代がきていますので、オーナー自身も自分が所有している建物がどのような状態であるかを理解する事が大事になってきてますし、それを補う上でも建築法規のプロの視点で確認することが大事なのではないかと思っております。

執筆者Writer
ドキアーキテクツ株式会社|代表取締役社長 / 建築家 / 一級建築士
熊田 康友Kumada Yasutomo
1978年静岡県生まれ。武蔵工業大学大学院土木工学科卒。設計事務所等に勤務した後、2013年にデザイン設計事務所「DOKI architects(ドキアーキテクツ)」を創業。建築設計だけでなく、ロゴやウェブサイトなど建物に付随するハコ・モノ・コトのデザインをトータルで請け負う。
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