コラム
COLUMN

2020.05.18

【エレベーターがある場合】既存住宅を用途変更する時の注意点について

普段みなさんが目にしているエレベーターも建築基準法で用途によって種類が規定されています。私たちに相談のお問い合わせの中でも既存住宅から老人ホーム、シェアハウス、簡易宿泊所への用途変更の依頼はよくある相談のうちの一つです。今回はその中でも既存エレベーターの取り扱いについて説明していきたいと思います。

エレベーターの種類について

まず建築基準法ではエレベーターは昇降機の一つとして規定されています。建築基準法では昇降機として、エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機が制定されています。(129条の3)小荷物専用昇降機は聞き馴染みがない方も多いと思いますが、例えばレストランの配膳などに利用するダムウェーターを想像するとわかりやすいと思います。

エレベーターとは・・・人または人及びものを運搬する並びに物を運 搬するための昇降機でかごの水平投影面積が1平方メ-トルを超え、又は天井の高さが1.2メートルを超えるもの
小荷物専用昇降機とは・・・物を運搬するための昇降機で、かごの 水平投影面積が1平方メ-トル以下で、 かつ、天井の高さが1.2メートル以下のもの
とそれぞれ定義されています。

さらにエレベーターは建築基準法施行令(129条の3)の中で安全性を考慮して細かく制定されています。ただし特別な用途や構造のもの中には通常規定を除外することができる特殊な構造のエレベーターが定められています。(129条の3第2項1号)。
例えばエレベーターといっても、マンションや商業施設、病院、事務所など多数の人が乗用に利用するものと、住宅用のホームエレベーターなど少数が利用する用途のものがあります。少数の人が利用する住宅用のエレベーターの場合は上記のような通常規定を除外できる規定が設けられています。(平成12 年建設省告示第1413号第一の六)

ホームエレベーターの落とし穴について

ホームエレベーターは住戸内のみに設置を制限された昇降機です。緩和内容の一つとして特定行政庁への定期報告が必要ありません。ただし保守点検は必要です。ここで問題になってくるのが、既存利用する住宅のエレベーターがホームエレベーターが設置されている場合、例えば用途が老人ホーム、シェアハウス、簡易宿泊所などの特殊建築物に用途変更する場合は住宅用のホームエレベーターは、そもそも住宅のみに限定されて確認済証が交付されているため、エレベーターの緩和規定が利用できなくなり、そのままで利用することができなくなります。これがどういうことが起きるかというと、エレベーターメーカーによって対応が変わってくるかと思いますが、場合によってはエレベーターの入れ替えが必要になります。
既存住宅を用途変更することで有効活用しようと考えている場合は、その部分も含めて行政や確認申請機関と事前に相談して置くと良いかもしれません。
注意事項としてホームエレベーターと似た種類で小型エレベーターというものがありますが、こちらも昇降機の構造規定が緩和されている部分がありますが、用途は制限されていないのでこちらが設置されている場合はそのまま利用しても問題がありません。

どうやってホームエレベーターかどうかを調べるのか

エレベーターがホームエレベーターかどうかを調べるのは品番を調べてメーカーに問い合わせるのが一番簡単です。そのほかにもエレベーターにも確認申請が必要なので、台帳記載証明書を所轄の行政の建築指導課にて取得して調べてみることでもホームエレベーターかどうかを確認することができます。

既存建物を利用する上で、その他のエレベーターの問題点について

近年高まってきたバリアフリー化にするためや、古くなってきたエレベーターの更新等で、既存建物にエレベーター棟を増築したい場合、または建物内にエレベーターを設けたい場合等の要望がたくさんある中で断念してしまう一番の理由があります。
みなさんの頭に思い浮かぶのが、建蔽率の問題、構造上の問題など、さまざま思い浮かぶと思いますが、一番多い問題が既存建物が検査済証を取得していない問題です。20年前の検査済証の取得率は40%以下なので60%以上の建物がエレベーターを増築、新設、更新ができない状態です。そのほかにも検査済証を取得していない場合の問題点としては、新たに確認申請を出すことができない(確認申請が必要な用途変更、増築、大規模な模様替えの不可)、物件価値の低下もあげられます。多くの建物オーナーが自分たちの物件が検査済証を取得していないことにも気づいていませんし、そのことによって生じるデメリットも気づいていません。話が少し横道にそれましたが最適建築コンサルティングでは、建物のリノベーションだけではなく、法的なコンサルも行なっています。

検査済証を取得していなくても法適合調査を行うことによってエレベーターの確認申請を交付することができますので、検査済証を取得していない方も諦めないで是非一度ご相談ください。

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