建築主事は、建築基準法第4条の規定により確認申請を審査するために地方公共団体に設置される公務員のことを指します。もう少しわかりやすく説明すると、区役所や市役所の建築指導課に配置されている確認申請に関する業務、検査などの裁量権を持つ人です。
ちなみに指定確認検査機関では建築主事と似た役職として確認検査員があります。こちらも確認申請に関する業務、検査などの裁量権を持つ人です。
私たち設計者のイメージだと建築主事とは建築指導課で審査の決定権を持つ立場の人で、小さい地方公共団体では配置されず、都道府県の土木課に配置されているイメージだと思います。
したがって地方で設計を行う場合は、市町村を統括する県の土木課に相談する事例もあると思います。
そのような基準はどのように決められているか解説していきます。
建築主事の設置基準は建築基準法の第4条に定められています。建築基準法4条では、人口25万人以上の市で政令で定めるものは建築主事を置かなくてはならないと定めています。つまり、政令で定められた25万人以上の都市には建築主事が配置されています。それ以下人口の都市では任意となっており、都道県の土木課が窓口となっている場合が多いです。
しかし、注意点として人口25万人以上の市 であっても政令で指定されない限り設置義務はないことです。ややこしい。
どのような手続きで建築主事になることができるかですが市町村または都道府県の吏員のうち、建築基準適合判定資格者検定に合格し、国土交通省に登録されている者の内から市町村長または都道府県知事が任命されたものが建築主事になることができます。
建築基準適合判定資格者、建築関係者でも聞いたことない資格だと思います。さらに解説していきます。
建築基準適合判定資格者とは建築確認申請に関する建築計画が、建築基準法や建築基準関係規定に適合しているかの確認や検査等を行う資格者のことを言います。
建築基準適合判定資格者になるためには、1級建築士試験に合格したもので、建築行政又は建築基準法第77条の18第1項に定める確認検査の業務その他これに類する業務で、政令に定めるものに関して2年以上の実務の経験を有するものが検定を受け、合格することによりなることができます。
政令で定めるものは以下の通りです。
基本的には1級建築士に合格し、特定行政庁や指定確認検査機関にて2年以上の建築確認申請の実務経験を行なっているものが受験することができるできます。従って、私を含む建築設計事務所勤務の多くのものは受験資格がありません。
建築主事は建築基準適合判定資格者に合格した者のうち、国土交通省に登録されて、自治体長が任命登録して行政機関で働く人を指します。
確認検査員とは建築基準適合判定資格者に合格して、指定確認検査機関にて確認や検査の業務を行う人を指します。
民間と公共の違いとなります。
ちなみに用途変更の確認申請だけは確認申請を指定確認検査機関にて手続きを行なっても、工事完了後の書類手続きは指定確認検査機関ではなく、特定行政庁へ工事完了届を提出しなければいけないので注意が必要です。また用途変更の確認申請の場合は基本的には完了検査がないため、確認申請手続きは特定行政庁へ工事完了届の提出となります。

執筆者Writer
ドキアーキテクツ株式会社|代表取締役社長 / 建築家 / 一級建築士
熊田 康友Kumada Yasutomo
1978年静岡県生まれ。武蔵工業大学大学院土木工学科卒。設計事務所等に勤務した後、2013年にデザイン設計事務所「DOKI architects(ドキアーキテクツ)」を創業。建築設計だけでなく、ロゴやウェブサイトなど建物に付随するハコ・モノ・コトのデザインをトータルで請け負う。
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