2018.10.30

既存建物の有効活用について

既存建物の有効活用について考える場合、建物をどのように活用したいかが決まっている場合と
決まっていない場合があります。私たちは「事業決まっていないが、既存建物の有効活用を検討したい」という場合でも、建築の事業企画をサポートしております。

>>「建築の事業計画について」

こちらのコラムでは事業が決まっている場合の業務フローを説明していきます。こちらのコラムを読むことによって、建築専門ではない一般の方でもある程度建物の有効活用するためのフローを理解することができます。

<フロー1>自社における建物のポジショニングの確認

現状の建物が抱える課題を把握する

建物の有効活用を考える場合、『事業として問題がある場合』と『建築法規上で問題がある場合』があります。
私たちはその二つの問題を解決することを『建物が最適された状態』と呼んでいます。

事業として問題がある場合

特に法人として遊休不動産を持っている場合、企業における遊休不動産の活用をどのように捉え直すかを考える必要があります。

例えば、バブル期に建てた従業員寮や福利厚生施設などが現在ほとんど使われなくなってしまったりなど
建設当時はそれなりに機能していたものが、現代では建物の劣化、設備の劣化、利用率の低下などにより
当初の期待していた機能とミスマッチになってしまった例などがよく見受けられます。

こういった問題は、積極的にリノベーションすることにより新たに生まれ変わることができます。

建築法規上で問題がある場合

よくある問題は確認済証は取得しているけれども検査済証は発行されていない状態である問題があります。
検査済証が発行されていない状況だと、建物を増改築、用途変更ができなくなってしまいます。
その時点で建物としては、増改築、用途変更だけにとどまらず、建物の査定価値が圧倒的に落ちてしまいます。

例えば検査済証を取得していない状況で売却した場合、購入した新たなオーナーが検査済証が発行されていない
状況を理解していなかったり、売却時の重要事項説明の説明不足で、購入後に売却先のオーナーを訴えるというような
お互いに非常に不幸な状態が生じる場合があります。

<フロー2>敷地に関する規制を確認する

敷地にかかる規制を調べる

建物の状況を確認したら敷地に関わる法規制を確認します。
調べる法規制の内容は下記の集団規定を重点的に調べます。

集団規定
○建築物の用途に関する規定(用途規制)
○建築物の高さの制限(絶対高さ制限、斜線制限、日影規制)
○建築物の大きさの制限(容積率、建ぺい率など)
○敷地と道路の関係に関する規定(接道義務、2項道路の後退など)
○その他、建築物と都市の関係に関する規定(排水に関する規定、景観に関する規定、など)

集団規定は各行政機関ごとにWEB上で公開していることが多いので、行政機関に訪れなくてもWEB上で
自分の住所を入力することによって確認できます。
東京都の場合は東京都 都市整備局が公開しているので気になる方はリンク先を確認してください。

用途地域によっては新たに用途変更する事業が規制されている場合があります。
例えば住居系の地域には工場が建てれないなど、建築基準法では用途地域によって建物の用途を規制しています。

また、地域によっては地区計画などが定められている場合があるので、そちらも注意が必要ですが
建築士に依頼する予定があるのならば、下調べ程度で詳細は建築士に確認するのが間違いがありません。

<フロー3>既存建物の状況を確認する

図面と書類から建物の状況を確認する

図面と書類で確認して欲しいものを下記にまとめました。物件を購入する場合でも以下の書類が揃っているのかを
確認することで、その物件が健全に建てられたかを示す目安になります。

確認すべき書類・図面関係
○確認申請書
○確認済証
○検査済証
○竣工図(意匠図、設備図、構造図)
○確認申請図
○構造計算書

こちらの書類と図面は建物の規模によっても、整備されている場合とされていない場合があります。
例えば4号建物と言われる規模の建物場合は構造計算書の義務がないため
構造計算書が添付されていない場合があります。

全てが重要な書類ですが、建物活用のためには特に検査済証の有無が重要になってきます。
検査済証の有無によって、用途変更確認申請をする場合は難易度が大幅に変わってしまいます。

度々、本サイトでもお伝えしていますが、今の建物有効活用で問題になってくる大部分が検査済証が無い建物についてです。

>>「検査済証がなくてお困りのかた」

現地調査により建物の状況を把握する

次に現地確認です、確認申請時の図面と現状のプランに相違がないかを確認します。
確認申請の手続きが必要な増築や用途変更が行われている場合があるので、そちらについても確認します。

建物の規模によっても調べる内容は変わってきますが、避難安全上の問題、設備の劣化、建物の劣化なども確認します。

事業者としての建物に対する責任ー耐震、避難

建築関係者、不動産関係者の中ではご存知の方も多いかと思いますが、既存の建物は1981年(昭和56年)をさかいに
耐震に関する大きな法改正があり、以前と以後で旧耐震基準と新耐震基準に分類されます。
新しい基準と、古い基準によって金融機関の融資を受ける評価も変わってきますので
どちらが良い悪いではなく、あらかじめ把握しておくことが大切です。
建物の事業者として、テナント業者、利用者に安心して利用していただくためにも
旧耐震基準の建物の場合は、耐震診断と耐震補強を私どもは進めております。
耐震診断と補強に関しては国や自治体から補助金が交付される場合がありますので、お気軽にご相談ください。

<フロー4>改修のプランニングの方針をたてる

改築と新築との違いを理解しよう

改築の場合ほとんどの方が、新築に比べかなり工期を短縮でき、コストも削減できると考えていると思います。
それは正解とも言えますが、新築と比べ解体時に思ってもみない不測な自体が生じやすいことも多いです。
そのため不測な事態をある程度、想定して事業スケジュール、事業コストを考える必要があります。
こういった事態を必要最低限にするためにも、専門家と相談して、初期段階で部分的に解体して状態を確かめたり
想定することがリスク管理の上で必要だと考えています。
改築は新築に比べ、コスト、スケジュール面で有利ですが、現状の書類がそろっていない場合は注意が必要です。
特に検査済証がない場合は、最終的に検査機関が確認申請に添付された図面通りに建物がつくられているかどうかチェックしていないため、注意深く計画を建てることが大切です。

行政と専門家と協議をしてチェックしよう

検査済証がある場合とない場合では、行政との協議する内容も難易度も大幅に変わります。
検査済証がない場合は、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」に乗っ取った手続きをします。

>>「検査済証がない場合のガイドライン、法適合状況調査について(1)」

また用途変更などがあり、許認可関係(旅館、保育所など)が関わる場合は、合わせて対応することが必要になります。
これらの関係各所と調整して、スケジュール、予算、計画案を詰めていくことが必要になっていきます。

おわりに

既存建物の有効活用が注目を浴びて、多くの事業者が改修工事(リノベーション)を検討される機会が増えていますが
上記で説明した4つのフローをしっかりと理解しておくことで、既存の課題の整理整頓ができます。
新しくスタートする事業の成功の可能性を高める上で、上記のフローは非常に大切なことです。
建物の工事は設計者、工事業者、メーカー、職人など多様な立場の人たちが一緒になって行なっていきますが
オーナー、事業者もそのプロジェクトの一員であることに変わりはありません。
プロジェクトをよりよい形で進める為にも、自社の課題、法的な制限、既存建物の状況などを
しっかりと理解していくことが重要になります。

プロジェクトを円滑に進めるためにも、設計者や施工会社はもちろんですが
建物を中長期的に活用するためにも、オーナーや事業者も建物の状態を理解する必要性を感じています。

弊社では、上記のフローを実践し事業者の方と共に既存建物の活用を行っています。
弊社が携わった、ゲストハウス西半というプロジェクトでは、遊休不動産となっていた企業の旧事務所を
ゲストハウスへ用途変更し、収益化を行いました。
こちらのプロジェクトで改修された物件は、地域、既存建物の状況、ビジネス戦略などの様々な条件を考慮しながら
事業企画・設計を行ったことで、ビジネスに最適な建築へと再生する結果となりました。

>>「遊休不動産(空き家)を一棟貸しゲストハウスに用途変更」

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