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平成30年6月27日に公布された「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)」により、建築基準法第6条第1項第一号建築物の面積要件が100m2超から200m2超に変わりました。
既存建物の用途変更のご相談を受けた際に、よく調べられている方ですと「200m2未満だから、確認申請は必要ないですよね。」と確認されることがあります。
確かに、現行の建築基準法では、200m2未満の用途変更に確認申請は必要ありません。 しかし、「確認申請の必要がない」というだけであって、「現行の建築基準法を満たさなくていい」ということではありません。
誤った認識のまま用途変更を進めてしまうと、あとで費用や時間がかかることにもつながる可能性があるので注意が必要です。 そこで、今回の記事では200m2未満の場合の用途変更について解説していきたいと思います。
また、この機会に用途変更に関することを簡単に振り返っておくと内容が理解しやすいかと思います。
用途変更確認申請が必要な規模と用途 まずは、用途変更確認申請が必要になる規模と用途について解説して行きます。
簡単に説明すると、用途変更確認申請が必要な規模は次の通りです。
・用途を特殊建築物に変更する場合
・用途変更する面積が200m2を超える場合
上記に該当する場合、用途変更確認申請が必要になります。
特に200m2未満の用途変更を検討されている方がよく直面する問題があるので、次項で確認していきましょう。
用途変更を行う際の注意点の1つ目は、「建物内での用途変更の合算の面積で用途変更手続きが行われる」ということです。
わかりやすく例を挙げて説明します。
例えば、ワンフロアー190m2の3階建のビルがあったとします。
その1階を飲食店に用途変更した場合ですと、190m2の用途変更になるので、確認申請は不要です。しかし、この2階を新たに飲食店に用途変更をする場合はビルに対して、飲食店が380m2となるので、確認申請が必要になります。
特にテナント(借主)側は自身が飲食店として用途変更を行う面積は190m2という認識でいることが多いため、後になって用途変更の確認申請が必要だということがわかり、時間や費用が余分にかかってしまうというケースが少なくありません。
不動産会社やオーナーなどがテナント状況などをしっかり管理されている場合は問題ないのですが、管理がおざなりになってしまっているケースも少なくないのが現状です。
用途変更を行う際の注意点の2つ目は、「確認申請が不要だったとしても、建築に係る法規に適合している必要がある」ということです。
法律を遵守することは一般的な話しではあるのですが、どのような経緯か、「確認申請が不要だと、建築に係る法規を守らなくて良い」という認識をされている方が稀にいらっしゃいます。
用途変更を行う場合は、確認申請が不要だったとしても建築基準法や消防法などの法律に適合していなくてはなりません。 また、用途変更は書類上の手続きだけで完結するという認識をされている方も多いですが、例えば用途を事務所から店舗にする場合などは、店舗として運営するためのルールや基準を満たさなければなりません。
必要に応じて工事などを行う場合は、費用や時間が多くかかることもありますので予め理解しておきましょう。
「200m2未満の用途変更だから大丈夫だろう」と思っていても、確認申請が不要なだけであって、その他必要な手続きなどがないとは限りません。 用途変更を行う際には200m2未満だったとしても、確認申請が必要な規模や用途、手続きの流れなどについて、確認しておくことが重要です。
また、用途変更を行う際に、関わってくる法令や必要な書類などが揃っているかなども予め確認しておきましょう。特に確認済証や検査済証がない場合などは、別途必要な手続きを踏まなくてはならない場合があり、費用や時間がかかってしまうことがあるので注意が必要です。
私たちは、一級建築士事務所としての法規の知識や技術力、行政と正確に折衝を行う交渉力を活かしてお客様の用途変更をサポートさせていただいております。
200m2未満の用途変更でも、既存建物の状況や変更したい用途によって必要なことが異なります。
既存建物の用途変更にあたって何が必要かわからないという方はお気軽にご相談ください。

執筆者Writer
ドキアーキテクツ株式会社|代表取締役社長 / 建築家 / 一級建築士
熊田 康友Kumada Yasutomo
1978年静岡県生まれ。武蔵工業大学大学院土木工学科卒。設計事務所等に勤務した後、2013年にデザイン設計事務所「DOKI architects(ドキアーキテクツ)」を創業。建築設計だけでなく、ロゴやウェブサイトなど建物に付随するハコ・モノ・コトのデザインをトータルで請け負う。
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